経団連くりっぷ No.99 (1999年4月8日)

日本コロンビア経済委員会(委員長 槙原 稔氏)/3月30日

輸出促進はコロンビア経済発展の鍵

−ラミレス・コロンビア貿易大臣と懇談


来日したラミレス貿易大臣を迎え、パストラーナ政権発足後の通商政策を中心に説明を聞いた。

  1. 経済情勢とパストラーナ政権の取組み
  2. 98年のコロンビアの経済成長率は、政情不安や石油、コーヒー等のコロンビア主要輸出産品の国際価格の下落により大きく落ち込み、0.2%にとどまった。
    パストラーナ政権は、国内和平の達成に向け積極的に取り組んでいる。具体的には、ゲリラ組織との対話、麻薬対策、外交の多角化、政治改革、特に紛争地域や農村地帯での保健・教育・住宅・インフラ部門への投資などがあげられる。
    政府支出の削減および増税により、今後3年間で財政赤字を解消する計画である。また経済成長の原動力として、高付加価値産品の輸出拡大を目指している。こうした施策により、99年は1%程度の経済成長を達成し、2000年以降、最低でも最近15年間の平均である4.4%程度の経済成長まで回復させたいと考えている。

  3. 通商政策および輸出拡大のための施策
  4. コロンビアの重要な輸出産品はコーヒーであるが、軽工業品や石油、切り花、農産品、エメラルド等の輸出も拡大している。
    コロンビアからの輸出に対し、米国、EUは特恵関税を与えている。また、コロンビアの加盟するアンデス共同体は、関税同盟としての性格を強めつつ、将来的にはEUのような経済統合プロセスを目指している。アンデス共同体とメルコスールを統合して1つの自由貿易地域とする交渉や、米州自由貿易地域(FTAA)創設に向けた交渉も始まっている。
    輸出拡大がコロンビア経済発展の鍵を握るという考えの下、政府および民間が協力して輸出拡大10カ年計画を策定中である。コロンビア産業の生産性向上と競争力強化を最大の目標としており、海外からの投資拡大、輸出競争力強化のための輸送インフラの整備、輸出産品の品質向上に向けた教育を重視している。
    具体的な戦略としては、国際的な需要に応えうる輸出品・サービスの拡大と多様化、輸出品の高付加価値化、生産性・品質の向上等があげられる。計画の実現により、GDPに占める輸出の割合は98年の12%から2002年には18%に拡大し、百万人の新規雇用を創出することを見込んでいる。

  5. 日本からの戦略的な投資計画の可能性
  6. 日本からコロンビアへの投資を考える場合、コロンビアの4,000万人の市場を目的とするだけでなく、日本製品をコロンビアに輸出し、35%程度の付加価値を付与した上でコロンビアに対し特恵を与えている国々に輸出するという戦略を考えていけば、両国にとって利益があると思われる。通信機器を例に取ると、日本からカナダへ輸出する場合は17.5%の関税がかかるが、コロンビアからカナダへの輸出では10%で済む。


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