経団連くりっぷ No.99 (1999年4月8日)

日本ベネズエラ経済委員会(委員長 亀高素吉氏)/3月11日

産業の多角化に努めるベネズエラ

−ノーネス駐日ベネズエラ大使との懇談会を開催


ノーネス駐日ベネズエラ大使を招き、2月に発足したチャベス政権の政策運営およびこれまでの石油依存体質からの脱却に向けたベネズエラの取組みを中心に、説明を聞くとともに懇談した。

  1. 経済安定化に向けたチャベス政権の取組み
  2. 1997年末以降の石油価格の大幅な低下により、ベネズエラ経済は低迷した。こうした状況下、98年12月に大統領選挙が実施され、チャベス候補が当選し、過去40年間にわたり続いたベネズエラの二大政党時代は終わりを告げた。
    チャベス大統領は、2月の大統領就任前から、次期大統領としてフランス、ドイツ、イタリア、米国を訪問するなど活発な外交を展開している。公式発表はないが、今年中に日本を含むアジアを公式訪問する可能性もある。
    チャベス大統領の当選後、ベネズエラ債券市場、為替市場は混乱することなく安定している。これは新政権への内外の期待の表れである。

    新政権の目標は次の通りである。
    まず経済面では、98年第4四半期から発生している経済危機に対処するための法的権限を大統領に与えるための法案(授権法)を議会に提出している。現在審議中であるが、不動産部門への海外からの投資に対する減税措置や、景気を回復軌道に乗せるための施策等が適用範囲に含まれる予定である。
    また政治面では、選挙期間中の公約であった制憲議会の召集につき、最高裁で議論が行なわれている。新政権は民主主義、人権を尊重していくことを目標に掲げている。

  3. 石油依存体質からの脱却
  4. 現在ベネズエラでは、従来の石油依存体質からの脱却の必要性が論じられており、そのため産業構造の多角化に取り組んでいる。
    国営石油会社PDVSAは、これまで雇用機会の創出という面で重要な役割を果たしてきた。PDVSAは事業の多角化を目指しており、国内外の資本家にダウンストリームの分野への参加を要請している。これはベネズエラの経済政策の一部ともなっている。
    また「煙突のない産業」の発展も重視しているが、その1つに観光業がある。現在日本からベネズエラへの観光客は年間6,000人程度であるが、努力すればこの数を容易に3倍程度に増やすことができる。在京大使館は、ベネズエラの旅行代理店やツアー・オペレーターが集うベネズエラ観光協会の99年総会を日本で開催するよう働きかけている。


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