経団連くりっぷ No.99 (1999年4月8日)

輸送委員会企画部会(部会長 近藤 晃氏)/3月15日

物流構造改革の推進に向けて


輸送委員会では物流効率化に関する検討の一環として、企画部会を中心に関係方面から物流をめぐる現状、効率化へ向けての課題等についてヒアリングしている。運輸省では、昨秋、物流施策アクションプランを取りまとめるなど、物流構造改革に取り組んでいることから、運輸省運輸政策局の星野貨物流通企画課長から、物流構造改革に向けた運輸省の取組み等について説明を聞くとともに、意見交換を行なった。

  1. 運輸省側説明要旨
    1. 物流構造改革の必要性
    2. 物流システムの効率化は、運輸省のみならず関係省庁全体、さらに産官共同で取り組むべき政策課題である。運輸省は昨秋、ハードとソフトが有機的に結びついたコンパクトで効率的な物流システムを構築する観点から、物流施策アクションプランを取りまとめたが、今後、地方公共団体等と連携を取って一層の推進を図りたい。
      物流構造改革は、さまざまな視点から必要である。政府レベルでは今般の産業再生計画において、国民経済レベルでの生産性向上の観点から、物流システムの高度化が指摘されている。
      また、産業空洞化を防ぐために国際的な産業立地競争力を向上させる視点から、総合物流施策大綱が取りまとめられている。
      一方、企業の見地からは、限られた経営資源を自らの得意分野に投資するというコア・コンピタンスが志向されるなど、経営戦略の転換が図られている中、物流構造改革が重要な課題となっている。

    3. 物流効率化に向けた具体的課題
    4. 物流効率化に向け、ここ数年、さまざまな対策が講じられてきたが、さらに官民が足並みを揃え、効率化へ向けての課題に取り組んでいくことが今後の課題である。
      具体的には、社会資本整備に関し、港湾・空港・道路のインテリジェント化の進展、物流機能施設の効率的整備、地域創りにおける物流機能の適切な位置付け等が必要であり、また、情報化・標準化を進めるに当たってのプラットフォームの構築、次世代物流技術に対する開発支援等、ソフトインフラの整備が求められる。自家物流部門のアウトソーシングの促進をはじめ、輸送ロットの拡大、荷姿の標準化、流通に関するビジネスプロトコルの標準化への取組みが企業サイドに求められるほか、物流コーディネーター等のニュービジネスの育成等に取り組む形での物流産業の対応も挙げられる。

  2. 意見交換
  3. 経団連側:
    物流システムの高度化に向け、政府は今後どのような体制を取るのか。

    運輸省側:
    総合物流施策大綱の推進において取られている運輸・建設・通産の3省庁体制に加えて、産業再生計画に掲げられているように、省庁間のみならず民間との連携の強化が重要と考える。今後、産業界との継続的な話し合いを通じて対応を図りたい。

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