第14回評議員懇談会(座長 川勝評議員会副議長)/3月29日
評議員110名の出席を得て、評議員懇談会を開催し、産業競争力強化、次期WTO交渉、新会計制度、環境問題に関する経団連の取り組みを報告するとともに、懇談した。
経団連には、経済再生への道筋を力強くリードしてほしい。また、良好な国際ビジネス環境を実現するための国際的ルール作りに関し、積極的な役割を果たしてほしい。
景気を本格的な回復軌道に乗せるには、供給サイドの強化が必要である。この問題を官民で論議する場として産業競争力会議が設置され、本日第1回会合が開催された。
公的資本注入によって、金融機関が不良債権の処理を迅速に進め、金融仲介機能を早期に回復することを期待している。一方、借り手である企業は、選別融資の対象とならないよう、バランスシートをきれいにする必要がある。
2001年にかけて順次実行される企業会計の改革は、企業経営者にとって大変厳しいものであるが、企業活動がグローバル化する中、前向きに取り組んでいかなければならない。
さらに、社会保障制度を持続可能なものへと再構築すること、国・地方を通じて小さい政府を実現する必要がある。
景気の先行きは、楽観できる状況にはないが、官民あげた努力で99年度後半にはプラス基調に乗ると期待しているし、そうしなければならない。
産業競争力会議では、今後検討すべき課題として、
これらは、経団連が提言してきた内容とほぼ一致している。既存産業の国際競争力の強化を目指した環境整備については、産業問題委員会が、将来のリーディング・インダストリー創出のための中長期的重点国家プロジェクトの推進については、産業技術委員会が、新産業・新事業創出の推進と環境整備については、新産業・新事業委員会が窓口となり、対応することになろう。
これまでの検討では、
WTO等を通じた多角的な貿易・投資体制を補完する形で諸外国との二国間・地域貿易協定締結の可能性を積極的に検討していく時期に来ているのではないかと考えている。
日本版ビッグバンの実現に向けたインフラ整備の一環として、ここ数年、国際的に通用する会計開示基準の整備が進められてきた。中でも
グローバルな活動を展開する以上、企業評価の物差しである会計基準の国際化に前向きに対応していく必要がある。同時に、それらがいたずらに企業経営のあり方や株式市場へ悪影響を与えないよう、引き続き環境整備を進めていく。また、会員企業への広報にも力を入れていきたい。
温暖化対策の枠組み策定の過程で産業界の意見の反映に努めている。まず、温暖化対策に関する基本方針については、原子力の扱いが最大の争点であったが、産業界の働きかけの結果、CO2の削減目標達成に不可欠な原子力の推進が明記されることになった。また、サマータイム制の導入は、国民の温暖化問題への関心が高まり、省エネルギー化につながることが期待されることから、経団連としても賛成している。
先般、一昨年取りまとめた経団連環境自主行動計画の第1回フォローアップを行なったところ、需要増に伴い、一部業界ではCO2排出量が増加している。引き続き協力をお願いしたい。
有害化学物質については、事業者自身による適切な管理・使用、排出削減努力を対策の中心にすべきであると主張している。その一環として、環境汚染物質の排出・移動登録調査に自主的に取り組んでおり、この経験を踏まえて、関連法案に産業界の意向を反映させていく。