環境安全委員会 廃棄物部会(部会長 庄子幹雄氏)/4月15日
3月30日、政府のダイオキシン対策関係閣僚会議において、ダイオキシン対策推進基本指針が決定された。そこで、廃棄物部会を開催し、同指針に基づき、今後政府がどのような具体的な対策を講じていくか等について、厚生省生活衛生局水道環境部の塩田計画課長より説明を聞くとともに、種々懇談した。また、経団連環境自主行動計画第2回フォローアップにおける廃棄物分野の目標設定について検討し、方針を取りまとめた。
廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出削減のための規制等、着実にダイオキシン対策は進められてきたが、テレビ報道をきっかけにダイオキシン問題が社会問題化したことを受け、本年2月に、政府のダイオキシン対策関係閣僚会議において、ダイオキシン対策推進基本方針を策定する決定がなされた。今般策定された基本指針では、国は、地方公共団体、事業者、国民と連携しつつ、今後4年以内に全国のダイオキシン類の排出総量を平成9年比で約9割削減することとし、具体的な施策として、
現時点で、排出源の9割が廃棄物の焼却施設であり、排出量全体の8割が一般廃棄物の焼却施設、1割が産業廃棄物の焼却施設、残りの1割が精錬や鉄の焼結工程等から出ているとみられている。
政府として、既に大気汚染防止法施行令等を改正し、排ガス中のダイオキシン類濃度の基準を新たに設定している。基準は、新設施設に対しては平成9年12月から適用している。既設施設に対しては、技術的可能性と実施までの準備期間を考慮し、現在は80ng/m3を基準としているが、平成14年12月1日以降は、燃焼室の処理能力に応じ、排ガス中のダイオキシン類濃度を1〜10ng/m3以下にすることを義務づける。
このような取組みを受け、市町村の一般廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類対策は着実に進展している。昨年11月時点で、規制前の年間排出総量(約4320g)の10分の3程度にまで削減された。既設施設に対してより厳しい基準が適用される平成14年12月以降には、規制前の10分の1以下の約370gまで削減される見通しである(図参照)。
産業廃棄物焼却施設については、昨年12月1日現在、稼動中の3840施設のうち現行基準値(80ng/m3)を超えたのは19施設であり、うち18施設は改善済みである。残る1施設は再測定でも排出基準を超えたため使用を停止している。
循環型社会の形成に向け、今後推進すべき政策は、廃棄物の減量化・リサイクルの推進、安全な処理施設の整備、有害物質の安全な処理、技術開発等である。特に廃棄物の減量化については、今回の基本指針において目標量を半年以内に設定することを定めており、関係方面との協議をはじめ検討を急ピッチで進めることになる。