経団連くりっぷ No.101 (1999年5月13日)

OECD諮問委員会(委員長代行 塩谷憲司氏)/4月13日

閣僚理事会に向けたOECDの活動状況

−シュレーゲルOECD事務次長との懇談会を開催


来日したシュレーゲルOECD事務次長を迎えて、最近のOECD活動をめぐり懇談した。シュレーゲル事務次長は世界経済の見通し、次期WTO交渉など閣僚理事会の主要議題について説明した。また電子商取引、コーポレート・ガバナンス、バイオテクノロジー等をめぐり活発な意見交換が行なわれた。

  1. OECD閣僚理事会
  2. 事務次長:
    5月26〜27日に閣僚理事会が開催される。主な議題は、
    1. 世界経済の見通し、
    2. 次期WTO交渉への対応、
    3. コーポレート・ガバナンスの基本原則、
    4. OECD贈賄防止条約のレビュー、
    等である。
    このうち、世界経済に関しては、欧州・アジア諸国の経常・貿易収支赤字問題、保護主義の台頭に対する監視などが具体的なテーマとなろう。日本経済については、金融システムの再編、企業のリストラ努力、政府の財政・金融政策により、下方スパイラルを脱したと見ている。

  3. 電子商取引
  4. 経団連側:
    電子商取引分野では、米国とEUが根本的な考え方の違いから対立し、OECDで問題を扱いきれなくなっている。また特にプライバシー保護の例に顕著なように、EC指令がヨーロピアン・スタンダードとして先行する傾向が強まっているが、本来はまずOECDで話し合うべきである。
    事務次長:
    欧州委員会と米国との間に対立があるのは事実だが、他方でEUの主要加盟国と米国の間に、民間主導という電子商取引の基本原則に関し幅広いコンセンサスが存在する。EC指令先行の危険性に関する指摘はもっともであり、OECDとしても今後、各国間でスタンダードの格差が広がらぬよう努力していきたい。

  5. コーポレート・ガバナンス
  6. 事務次長:
    コーポレート・ガバナンスに関するOECDの活動は、企業をめぐる各主体の責任を明確にすることを目的としている。加盟国だけでなく、これから関連法制度を整備していく非加盟国に対しても、OECD諸国の経験を活かした指針を示すことを目指している。

  7. バイオ・テクノロジー
  8. 経団連側:
    BIAC技術委員会は、今後、教育、環境、バイオ・テクノロジー等の問題を取り上げていく予定である。
    事務次長:
    バイオ・テクノロジーはホットかつセンシティブな問題である。各国の規制のコーディネーション、貿易の自由化、技術移転などが今後の検討課題となろう。ただし電子商取引に似て、複雑で政治的に困難な問題である。OECDとして、知識・経験の少ないうちは、慎重に対応していく必要がある。

くりっぷ No.101 目次日本語のホームページ