経団連くりっぷ No.101 (1999年5月13日)

防衛生産委員会 総合部会(部会長 西岡 喬氏)/4月13日

防衛調達改革と今後の装備行政について


防衛調達をめぐる不祥事の再発防止を目的として、防衛庁では、昨年11月に「防衛調達改革の基本的方向」を公表し、その後、改革実現のための具体的方策について検討を行い、今般、「調達改革の具体的措置」をとりまとめた。そこで、及川・防衛庁装備局長を招き、調達制度の改革を中心に、防衛調達制度調査検討会(座長:川合 健・帝京大学教授)での議論や機構改革に関しても説明を聞くとともに、意見交換を行なった。

  1. 及川装備局長説明要旨
    1. 競争原理の強化:
      規格・仕様書の見直し促進、装備品の導入段階・研究開発段階における複数企業からの提案の聴取、契約に先立ち防衛庁長官が企業選定する場合の要件の明確化等に加え、規格・仕様書の概要の公開、随意契約の透明性確保のための契約理由の開示等、情報公開を進める。

    2. 原価計算方式等の妥当性の検討:
      経費率計算にあたっての運用基準の明確化を行うとともに、原則公表する。

    3. 企業側提出資料の信頼性確保:
      制度調査の受入及び資料保存を義務化するとともに、企業における自主的な社内管理体制の整備を期待する。

    4. 教育の充実・強化等:
      調達職員の専門能力を向上させるため教育・研修制度を整備するとともに、防衛庁全体としての倫理教育を徹底したい。

    5. 工数をマクロ的にチェックする体制の整備:
      工数データの一元的なオンライン工数集計のためのシステムを開発する。

    6. 監査担当官の巡回・派遣制度の整備:
      原価監査官の巡回による工数等のチェックの実施等、監査の体制を充実させたい。

    7. 過払事案処理に関する統一的かつ明確な基準の策定:
      過払い事案が発生した場合の処理につき、過払額算定および返納方法等過払事案処理要領を策定する。

    8. 部外有識者による監視体制の導入:
      部外有識者を活用した第三者による監視体制を確立し、防衛調達に係る透明性・公正性の向上を図りたい。

    9. 企業のコスト削減に向けたインセンティブ向上のための施策等:
      企業が有する技術等を活用したコスト低減につき、その50%を減価提案技術料として原則3年間支払う「減価提案制度」を試行する。

    10. 具体的施策の実効性確保:
      本制度改革を防衛庁全機関を通じて推進し、その実施状況をフォローアップする体制を確立する。

    11. 機構改革:
      調達実施本部は原価計算部門と契約部門に分離し、前者は内部部局に吸収し、管理局(仮称)に置く。後者は防衛装備品の調達に係る共通的要素を集約し、契約本部(仮称)を設置する。

  2. 経団連側発言要旨
  3. 経団連側より、民生品の活用と仕様書の見直しに関する内局・各幕等への周知徹底、経営実態等に適合した原価計算方式、制度調査等に対する企業側の負担増への配慮、企業のコスト低減努力が確実に反映されるインセンティブ制度の導入、一般確定契約の比率拡大等について要望を述べた。


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