経団連くりっぷ No.102 (1999年5月27日)

なびげーたー

中央省庁等改革関連法案の国会上程に想う

産業本部長 永松恵一


2001年1月からの新体制移行は今や国際公約であり、法案を今国会で必ず成立させなければならない。

さる4月27日、政府は、内閣法改正案、内閣府設置法案、国家行政組織法改正案、12省庁設置法案、独立行政法人通則法案などの中央省庁等改革関連法案と、法案に書き込めなかったことを文書化した「中央省庁等改革の推進に関する方針」を閣議決定し、翌日、関連法案を国会に上程した。

これらは、経団連の豊田名誉会長が参加した行政改革会議の最終報告に沿った中央省庁等改革基本法を具体化したものであり、その具体化作業は今井会長が座長を務める顧問会議の監視下で進められてきた。官僚の巻き返しで骨抜きになるのではないかと懸念する声が多かったが、法案ならびに方針の内容をみると、よくここまでがんばっていただいたと思う。

たとえば、第1に、経済界が最も期待している経済財政諮問会議については、官僚支配を排除するため、経済財政運営・予算編成の基本方針等の原案は同会議自身が作成することになった。また、総合科学技術会議についても、「審議に当たり、科学技術の研究開発等は、大学、研究機関、産業等の幅広い分野で進められていること等に留意する」とされ、議員の構成でも産業界に配慮されることになった。

第2に、国家行政組織法に「行政機関の政策に関する評価および調整についての規定」が置かれ、これらによって政策の充実と縦割り行政の排除が期待される。

第3に、行政指導の根拠とされることの多かった各省設置法については、権限規定が削除され、所掌事務の範囲の中で行政行為の権限があるのかないのかは、個別の法律によることが明確になった。

第4に、行政のスリム化については、90の機関・業務が独立行政法人に移行するとともに、それも含めて10年間で国家公務員の25%が削減されることになった。

勿論、非公務員型の独立行政法人が少ないといった問題や、内閣機能の強化等が政省令や運用の段階でどうなるかといった問題はあり、今後も監視は怠れないが、ここまで漕ぎ着けた関係者のご尽力に敬意を表したい。

行政改革会議の最終報告が指摘したように、「他の何者かの圧力や強要によってではなく、自らの意思によって、われわれは、勇気をもって、この大きな転換への具体的ステップを踏み出す」瞬間を迎えている。

2001年1月からの新体制移行は今や国際公約である。これが万が一にも遅れれば、日本は世界の冷笑を浴びることになろう。2001年1月に移行するためには、2000年度予算の1〜3月分については新体制の予算を組む必要があり、そのためには、何としても今国会で法案を成立させなければならない。


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