経団連くりっぷ No.102 (1999年5月27日)

高村外務大臣との懇談会(座長 今井会長)/4月27日

当面の重要外交課題について聞く


5月以降の重要外交日程を控え、高村正彦外務大臣を迎えて、ガイドライン関連法案、日米関係、グローバリゼーションへの対応、北朝鮮情勢、コソヴォ問題等、当面の外交課題について説明を聞くとともに、種々懇談した。また、経団連側からの提案に基づき、WTO交渉について官民の協議の場を設ける方向で合意した。

  1. ガイドライン関連法案
  2. 本日、「日米防衛協力のための指針」関連法案が衆議院を通過した。この法案は、日本の周辺において平和・安全に重要な影響を及ぼす事態が発生した場合、武力を行使しない範囲で米軍に協力し、有事への発展を防ぐことを目的とするものである。これによって日米の信頼関係の強化と、安全保障条約の抑止力向上が期待される。

  3. 日米関係
  4. 依然として、米国には、日本経済の行方についての心配もあろうが、5月3日の日米首脳会談では、小渕首相から、経済再生に向けた努力について説明があろう。日米関係は日本の外交の基軸であり、共通の価値観に基づく協調関係を確認するとともに、関係強化の良い機会となろう。

  5. グローバリゼーションへの対応
  6. グローバリゼーションについては、近年、様々な問題点も認識されつつある。5月のOECD閣僚理事会、6月のケルン・サミット、9月のAPEC首脳会議等の場においても、国際金融システムの再構築をはじめとする諸課題について議論することになろう。
    貿易の面では、2000年からWTO次期自由化交渉が予定されている。わが国は包括的交渉の実施を支持しており、EU、更には米国もその方向であると理解している。包括交渉に消極的な一部アジア諸国にも、次期交渉への参加を働きかけていく。
    また、次期交渉開始までに、できるだけ多くの新規加盟を実現することが重要である。特に中国の加盟について、先般、米中間で相当の進展がみられたことは歓迎すべきであり、早期の問題解決に期待している。

  7. 北朝鮮情勢
  8. 昨年8月のミサイル発射を受け、日朝国交正常化と食料支援を見合わせ、KEDOへの分担金拠出も当面見合わせた。北朝鮮については、核開発疑惑や日本人拉致疑惑等、問題は多いが、米韓両国と協力し、「対話と抑止」によって対応していく方針である。

  9. コソヴォ問題
  10. わが国はNATOによる空爆をやむを得ない行動であり理解する、としている。アルバニア系住民に対する民族浄化は、空爆に比べて見えにくいが依然続いている。コソヴォに関しては、難民問題が深刻化しており、わが国として新たに総額2億ドルの支援を決定したところである。


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