経団連くりっぷ No.102 (1999年5月27日)

日本コロンビア経済委員会(委員長 槙原 稔氏)/5月12日

経済の安定化と投資環境の整備が進むコロンビア

−パストラーナ大統領との昼食懇談会


コロンビアのパストラーナ大統領を迎え、昼食懇談会を開催した。大統領は、コロンビアは経済の安定化、投資環境の整備、治安問題の解決に積極的に取り組んでおり、日本からの投資拡大を強く期待すると述べた。また、同昼食懇談会に先立ち、大統領は今井会長と両国経済関係をめぐり懇談した。

パストラーナ大統領

  1. 経済政策の転換
  2. コロンビアを、持続的な経済成長を伴う豊かな国家として構築していくためには、経済政策の転換が必要である。
    まず、輸出製品の多角化を通じ、コロンビアを輸出国家としたいと考えている。技術革新によって、農産品・工業製品の付加価値を高め、自由貿易協定を活用しながら、国際市場に提供していく。
    また、マクロ政策面では、GDP比5.5%に達する財政赤字を減らすべく、厳しい財政調整プログラムを進めている。こうした努力の結果、現在、金利は急速に低下し、為替も安定していることから、コロンビアの国債は、国際市場で順調に消化されている。
    さらに、経済の活性化や雇用の創出に向け、住宅の建設・購入の促進、上下水道の整備、民間へのコンセッション方式による道路建設、農業の強化、1月の大地震によって被害を受けたコーヒー生産地の復興という5つの優先的分野を設定した。こうした活動を補完すべく、金融部門の強化と密輸の撲滅にも努めている。

  3. 投資環境の整備
  4. 政府は、投資環境の一層の整備を進めている。まず、運輸インフラの改善により、輸送コストの削減・貿易の容易化を図ろうとしている。とくに太平洋岸の港湾は、アジアへの出入り口として重要であることから、現在「太平洋への総合的アクセスプロジェクト」を推進している。
    また、投資家に対する法的な安定性を確保するため、二国間協定の締結や、諸手続きの簡素化を進めている。
    国内和平の実現を通じた治安問題解決にも真剣に取り組んでいる。ゲリラグループとの直接対話を行なった結果、今後和平交渉を進めることに合意した。このように和平プロセスは着実に進展している。
    日本企業がコロンビアの長所を十分理解し、今後コロンビアへの投資を拡大していくことを強く期待する。


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