経団連くりっぷ No.102 (1999年5月27日)

経済政策委員会 経済政策部会(部会長代行 斎藤勝利氏)/4月28日

「経済社会のあるべき姿」について

−経済企画庁総合計画局 大西計画課長と懇談


経済審議会では、現行の経済計画に代わるものとして、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」を、本年夏頃を目途に策定することにしている。これに広く国民の意見を反映させるため、4月13日、その基本的考え方が公表された。そこで、経済政策部会では、経済企画庁の大西又裕計画課長から、具体的な政策課題を中心に以下のような説明を聞いた。

  1. 少子高齢化社会への対応
  2. 高齢者雇用の促進のためには、年功序列的な給与や昇進等の慣行を見直す必要があり、国も公務員制度について先導的な役割を果たすべきである。また、労働力人口の減少に対応していくには、子育てと就業機会との両立が図られやすい環境の整備が重要である。他方、移民労働者の受入れは、労働力確保の観点からは不要であるが、特定職種における需給緩和や技術移転の推進等に資することから、秩序だった受入れについては積極的に検討すべきである。

  3. 国土政策及び地域経済振興
  4. 都市部における土地の多様な用途での利用を推進するため、用途別規制の環境条件による規制への転換も検討課題となる。また、地方間競争を通じて地域経済の振興を図っていくとともに、自律的な経済圏形成の観点から、市町村合併を推進するとともに、道州制や府県合併も検討する必要がある。

  5. 新たな社会・経済構造の形成
  6. 国際競争力を喪失した特定産業の維持策は原則として廃止すべきである。また、企業経営については、透明性の高いコーポレート・ガバナンスを促す環境の醸成に加え、ストック・オプション制度、M&Aにより、経営風土を一新する必要がある。雇用面では、労働移動に中立的な制度の整備が重要である。

  7. 財政再建と安全ネットの整備
  8. 財政再建の道筋を提示する観点から、歳出削減、アウトソーシング化を推進するとともに、国有財産、国営機関の売却、民営化の促進や政府、公営事業への企業会計的要素の導入等を図る必要がある。また、年金制度については、厚生年金の報酬比例部分の廃止(完全民営化)も含め、維持可能な制度設計を検討すべきである。さらに、世帯単位で設計されている年金、医療保険を個人単位に見直すことも検討すべきである。

  9. 国際化の推進
  10. 国際社会のコアメンバーとなり、自由貿易の推進、環境保護の原則などでリーダーシップを発揮する必要がある。また、日本語の国際語化も検討課題である。


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