日本メキシコ経済委員会 第19回定時総会(委員長 川本信彦氏)/5月24日
1999年度の日本メキシコ経済委員会定時総会を開催し、98年度事業報告・収支決算、99年度事業計画・収支予算を審議、承認した。審議に先立ち、外務省の阿部知之中南米局長より、最近のメキシコ情勢と日墨関係について説明を聞いた。阿部局長は、来年の大統領選挙をめぐる情勢や、米国経済との一体化の動向等について説明した。また日墨自由貿易協定については、わが国産業の将来像等も考慮して取り組むべきとの姿勢を示した。
2000年11月30日にセディージョ現大統領の任期が切れるのに伴い、同年夏に大統領選挙が実施される。従来は制度的革命党(PRI)の一党独裁下で現職大統領が指名する後継者がほぼ確実に当選してきたが、セディージョ大統領は後継者を指名しないと明言している。今のところラバスティーダ内務大臣がPRIでは最有力候補といわれる。
他方、野党の民主革命党(PRD)はカルデナス連邦区長官を、国民行動党(PAN)はフォックス・グアナファト州知事を推しているが、両党は関係が悪く、提携してPRIに対抗する図式は成り立ちにくい。
米国と異なり、メキシコでは最下層の所得が伸び悩んでいることから、貧富の格差が治安の悪化につながりやすい。チアパス州の民族主義的ゲリラの動きは、全国的な騒擾に発展する可能性は小さいものの、メキシコのイメージを悪くしかねない。麻薬問題も、一時期よりはコントロールが効くようになったとはいえ、依然として存在する。
メキシコ経済は米国経済に支えられ、全般的にそれなりの好調を維持している。石油価格も一時期よりは持ち直している。ただし銀行の不良債権の処理が将来、財政に大きな負担を強いることが懸念される。
他の中南米諸国とは異なり、ブラジルの経済危機の影響は比較的軽微であった反面、米国経済への一体化が進んでいる。米国の経済が逆調に転じたときに、メキシコ経済がどのようになっていくのか注視していく必要がある。
メキシコとの自由貿易協定を考えていく上で、