経団連くりっぷ No.103 (1999年6月10日)

第22回日本カナダ経済人会議(日本側団長 奥田 碩 日本カナダ経済委員長)/5月16〜18日

日本経済の回復に期待する


5月16〜18日、バンクーバーにおいて、日加両国より約280名の参加者を得て、第22回日本カナダ経済人会議を開催した。同会議では、全体会議において両国の経済情勢などを中心に議論するとともに、石炭、鉱産物、農水産・食品、自動車・同部品の4つの産業分野別分科会を開催した。

  1. 奥田日本側団長挨拶
  2. 両国の経済関係の発展のためには、それぞれの経済の着実な成長が不可欠である。カナダ経済は、米国経済の好影響もあり、1998年度の成長率が3%と良好である。また、クレティエン政権下での財政再建は特筆に値する。他方、日本経済は依然として厳しい状況にあるが、昨年来の景気対策や金融システム安定化策が功を奏し立ち直りの兆しが見えている。また、小渕政権は「産業競争力会議」を発足させるなど、更なる施策に積極的である。このようななか、カナダ政府・経済界が9月にクレティエン首相を団長とする大型訪日経済ミッション「チーム・カナダ」の派遣を予定するなど、日本市場でのビジネス拡大に積極的であることを歓迎する。両国の貿易投資関係がさらに多様な業種に広がり、相互依存関係が深まるなか、本会議がなお一層重要なものとなると思う。

  3. ウエストコースト・エナジー社 マイケル・フェルプス会長兼CEOの基調報告
  4. 日本経済において、金融分野の非効率、製造業の設備過剰、就労人口の高齢化など多くの問題が指摘されているが、これを乗り越えて経済回復を実現することは、アジア全体の持続可能な成長のためにも不可欠である。カナダ産業界は、日本経済が、先行きの不透明感の払拭による消費の回復、行政、製造業、金融分野などの更なる改革を通じ、健全な成長を取り戻すことを期待する。また、カナダ産業界は日本およびアジア経済の停滞を座視することなく、むしろ関係構築の好機と捉えて積極的な対応をとるべきである。

  5. 今後の運営等
    1. 全体会議では上記1、2の報告を受けて、金融サービス、林産物・住宅、観光の3つのパネル・ディスカッションを行なうとともに、ダキーノBCNI理事長が、カナダの通商戦略について講演を行なった。
    2. 今回の会議をもって、カナダ側委員長がジャック・ブージー アルキャン・アルミニウムCEOからポール・テリエ カナディアン・ナショナル・レールウェイズCEOに交替した。
    3. 次回会合は来年5月東京にて開催する予定である。


くりっぷ No.103 目次日本語のホームページ