日本ミャンマー経済委員会(委員長 鳥海 巖氏)/5月14日
今年1月に駐日ミャンマー大使に着任されたウー・キン・マウン・ティン大使を招き、最近のミャンマー情勢について聞いた。また、これまでの日本ミャンマー合同経済会議で出された問題をフォローアップするための合同ワーキング・グループが、当委員会のもとに設置されることになった。
軍事政権は、1988年に成立して以来、国家の統一を最優先事項とし、18の武装集団のうちの17を法の支配下においた。また、現政権は、憲法を現在作成中であり、それに基づく政権が成立するまでの暫定政権である。
政府としては、経済・社会インフラの整備に全力をあげている。農業関連事業の強化を図るとともに、家内工業をより大規模な製造業へと転換させるために、民間企業や個人に対する土地の分譲を進めている。また、輸送、コミュニケーションの分野にも力を入れ、交通インフラの建設を促進してきた。
92年度から95年度までの4ヵ年計画では、生産性を高め、輸出を伸ばすために、貿易・投資活動への民間参加を促進した。その結果、経済成長率は目標の5.1%を大幅に上回り、7.1%を達成した。さらに、96年度から2000年度までの5ヵ年計画も策定されている。そこでは、成長率を6%としたが、初年度は6.2%、次年度は5.8%を達成し、今年度は6.4%を見込んでいる。他方、財政赤字の拡大、金融緩和によるインフレ率の上昇等の問題があるが、財政支出の引締めにより対処している。
政府としては、食料自給に配慮しつつ輸出を拡大するとともに、製品の高付加価値化や中間財の輸入拡大にも力を入れている。
民間部門は、88年以前には実質的に存在していなかったが、現在ではGDPの76%、総輸出収益の75%を占めている。
海外からの投資も、88年当初は皆無に近かったが、99年1月30日時点で、312件、総計71億ドルにのぼっている。特に、石油、ガス分野への投資が多いが、今後は電力と観光への投資が有望であることを強調したい。
日本はミャンマーの主要な貿易相手国であるが、対日輸出は落ち込んでいる。他方、ミャンマーの豊富な資源を開発するためには、日本からの資本と進んだ技術が必要である。