貿易投資委員会 貿易部会(部会長 團野廣一氏)/5月27日
通産省通商協定管理課の相澤徹課長より、5月11、12日の両日、東京において開催された四極貿易大臣会合の模様について説明を聞いた。同会合では、次期WTO交渉の対象を広範なものとすること等につき合意した。
新規加盟:
WTOをより普遍的な機関とすべく、特に中国が次期交渉ラウンドに加盟国として参加できるよう早期加盟に向けて作業を続けることを合意した。
交渉の範囲、方式:
次期交渉ラウンドは農業、サービスなどに加え、他の分野も含む広範囲なものとすることで合意した。また、交渉を3年間で終結させることが望ましいことを確認した。交渉方式については一括受諾方式と早期収穫方式の両論併記となり、結論を持ち越した。
途上国の参加:
途上国の積極的な交渉参加に向け、WTOや他の国際機関の技術支援が必要であるとの点で一致した。
サービス、農業:
サービス分野の交渉については四極のなかで特段意見の対立はなかった。農業については、7月中旬の五極(四極+豪州)農相会議の場での議論を待つこととなった。
鉱工業品の関税・非関税障壁:
次期交渉の議題に含まれることにつき合意した。
投資:
米国は投資ルールの交渉に消極的であったが、他の三極が熱心に主張したこともあり、WTOでの作業を漸進的に進めていくことで合意した。また、高いレベルの投資ルール策定を警戒する途上国に対するメッセージの意味もあり、MAI交渉の終結を再確認した。
競争:
貿易と競争政策に関する作業部会の作業完了の後、新ラウンドの交渉対象とすべきかどうか検討することとなった。
貿易救済措置:
わが国や他の加盟国からアンチ・ダンピング(AD)問題を取り上げることの重要性を指摘した。米国は本件に否定的であったが、議長声明に、AD等の貿易救済措置を規律するルールの妥当性と実施に関して多くの加盟国が懸念を持っている旨を盛り込むことができた。
WTOの透明性:
インターネットを利用した情報提供、WTO文書の早期秘解除などを検討していくことで合意した。
その他:
知的財産権、貿易円滑化、貿易の社会的側面(労働等)、環境、政府調達、電子商取引、紛争処理等について四極共通の認識を示した。
今回の会合では、米国政府の立場がはじめて明確になったこと、次期WTO交渉に向けた閣僚レベルでの準備プロセスを本格的に開始したことなどの成果があった。今後、日本政府は、APECやASEMなどの場を利用しながら途上国との意見交換を積極的に行なっていく。