経団連くりっぷ No.103 (1999年6月10日)

金融制度委員会 企画部会(部会長 奈良久彌氏)/5月18日

官民双方の努力で「円の国際化」の実現を

−外為審答申につき小林大蔵省国際局調査課長にきく


4月20日、外為審では「21世紀に向けた円の国際化−世界の経済・金融情勢の変化と日本の対応−」と題する答申を宮澤大蔵大臣に提出した。そこで、5月18日、金融制度委員会企画部会では、答申のとりまとめにあたった小林敏雄大蔵省国際局調査課長を招き、答申の趣旨につき説明を聞くとともに懇談した。

  1. 小林課長説明要旨
  2. アジア通貨危機の発生、ユーロの登場、ビッグバンの進展といった内外経済・金融情勢の変化の中、「円の国際化」があらためて今日的課題として問われている。提言実現のためには、官民双方の努力が不可欠である。

    1. アジア各国の為替制度における円の役割の見直し
    2. アジア各国において、貿易・資本取引、投資等の実態に即した為替制度(例えば通貨バスケット)も1つの選択肢。その中でアジア各国通貨と円との連動性が高まることは望ましい。将来的なアジア域内通貨制度議論にも積極的に参加すべきである。

    3. 環境整備
      1. 金融・資本市場における環境整備
        FBの市中公募入札、TB・FB及び国債利子に関する税制改正等は、既に決定し、必要な措置がとられている。今後は、レポ市場の環境整備、5年物利付国債の導入、ストリップス債(元本部分と利札部分を分離して保有・販売できる債券)の取扱の検討等が必要である。

      2. 決済システムの改善
        日銀ネットの2000年末までのRTGS(Real Time Gross Settlement : 即時同時決済)化・稼働時間の延長、CP・CDのDVP(Delivery versus Payment : 証券資金同時決済)化、証券決済全般の包括的集中決済の仕組み整備等が必要である。

    4. 円を積極的に活用していくための取組み
    5. 円を巡る環境変化等を踏まえ、貿易取引や資本取引においてもこれまでのプラクティスを見直し、円建てへの取組みを進めるべきである。新たに国際協力銀行に認められたソブリン債保証や新宮澤構想によるアジアへの円資金供給も円の国際化に資する。

  3. 経団連側意見要旨
  4. 答申の内容を評価するとともに、民間側としても「円の国際化」に積極的に取り組んでいきたいとの意見が多数出された。


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