経団連くりっぷ No.103 (1999年6月10日)

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タイの工科大学生に日本企業での短期研修の機会を提供


一連のアジア通貨・金融危機の震源地となったタイ。不振を極めた経済がようやく底を打ちつつあると言われる中で、今後のタイの発展には、裾野産業の充実や、中間管理者、技術者を主とする人材の育成が不可欠とされている。

こうした中、5月上旬にタイから技術者のタマゴである大学生25名が来日した。彼らは、経団連が会員企業から8億円の寄付をいただいて1992年にタイに設立した工科大学、SIIT(タマサート大学シリントン・インターナショナル・インスティチュート・オブ・テクノロジー)の学生である。

SIITでは全ての学生に対し、4年生に進級するまでに企業で1ヵ月弱の実地研修を行なうよう、カリキュラムで定めている。主な研修先は在タイの地場企業や日系企業であるが、成績が特に優秀な学生については、毎年25名程度、経団連が日本での研修先企業を斡旋することにしている。今年は22社に受入れていただき、95年に研修斡旋を始めて以来、累計100名の学生の受入れにご協力いただいたことになる。

5月10日(月)の全体オリエンテーション後、学生は、北は米沢から南は松山まで日本各地に散らばり、5月28日(金)までの約3週間、受入企業の工場等で研修を行なうとともに、日本の文化や生活様式等にも触れた。

そうした日本での経験について、5月28日に経団連会館で行なわれた研修報告会では、25名の学生から、研修内容に関する専門的な話に加えて日本での生活実感等についての興味深い報告があった。例えば、日本の企業については、「『安全』や『環境』を非常に重視している」、「働きやすく清潔な職場環境だったが、女性スタッフの数が少ないのに驚いた」等の発言があった。また、日本の文化や生活様式について、「東京の人々は歩くのが早い」、「空港など公共の施設でも英語が話せない人が多いことに驚いた」といった発言もあった。

彼らを含むSIITの学生は、卒業後、英語が話せるエンジニアとして企業等で活躍することが期待されている。経団連では、タイに対する人材育成への協力の一環として、今後も研修先の斡旋を中心にSIITへの協力を行なうつもりである。会員各社の引き続きのご協力をお願いしたい。


研修終了後の歓送パーティーにて
研修生(25名)と草道 日タイ貿易経済委員長(前列左から4人目)ほか


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