経団連くりっぷ No.104 (1999年6月24日)

ガトラー オーストリア連邦産業院副総裁一行と懇談/6月3日

日墺企業間での経済協力を期待


経団連では、クレスティル大統領来日団随行として6月2日から4日にかけ来日したオーストリア連邦産業院のガートラー副総裁はじめ、経済人一行約40名を招き、大賀副会長を座長に懇談会を開催した。同会合では(1)オーストリア経済関係、(2)中欧・旧東欧圏へのハブ、要衝オーストリア、(3)日本への期待の3主要議題について意見交換した。また、当日、クレスティル大統領から冒頭開会の祝辞があった。以下は同懇談会の概要である。

  1. オーストリア経済の現状について
  2. 現在、オーストリア経済は好調であり、国際環境の変化も懸念されるものの、1999年も引き続き好況基調で推移するだろう。98年の実質GDPは、欧州での堅調な景気拡大および中・東欧での需要の急増により、輸出が2ケタ台の伸びを示したことで、2.7%成長を記録した。また、財政赤字は著しく減少するとともに、安定を保ってきている。

  3. 拡大ヨーロッパに向けて
  4. オーストリアは、東西冷戦下において、西側と東側の情報戦の最前線というあまり有り難くない評価を受けていたが、現在では旧西側・東側ヨーロッパの要所、そして交易、航空路のハブとして注目されるようになった。今後、欧州委員会の加盟国「拡大」路線により、これら旧東欧・中欧諸国の成長市場が新たなビジネス・チャンスを提供することとなり、オーストリアはその魅力を倍加してきている。
    事実、ハンガリー、チェコ等でのオーストリア金融機関の支店開設等と併せて金融ノウ・ハウのトランスファーが行なわれる等、金融分野での協力がすでに始っている。
    また、これらの成長市場での企業間の協力および合弁事業を通して、日墺間の協力を展開していきたい。

  5. 日墺経済関係の発展
  6. 現在、日墺両国の経済交流は拡大の方向にあり、官民の良好な関係も手伝って有望な時期にさしかかっている。オーストリア連邦産業院が推進してきた輸出促進プログラム「サクセスフル・イン・ジャパン」の効果もあり、対日輸出は増加傾向にある。今後、日本側の更なる努力により、関税・非関税障壁が完全撤廃され、自由貿易の基礎が早期に確立されることを期待している。特に、日本国内へのマーケット・アクセスが今まで以上に容易になることが期待される。具体的にはスキー靴の関税問題の改善を要望したい。

  7. 更なる期待
  8. 二国間の協力拡大の余地は多く残されており、日本の規制緩和が着実に行なわれれば、両国の経済・貿易関係の改善につながるものと確信している。日墺修好130周年およびクレスティル大統領の来日を機に、日墺企業間、連邦産業院と経団連の関係が一層発展することを期待している。


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