1999年度日本ブラジル経済委員会 総会(委員長 室伏 稔氏)/6月11日
日本ブラジル経済委員会では、99年度総会を開催し、98年度事業報告・決算、99年度事業計画・予算を審議、承認した。当日はヘイス駐日ブラジル大使より、最近のブラジルの経済情勢等について説明を聞くとともに懇談した。
最近のブラジル経済は、次のような、良好な兆しが広がっている。
短期金利は、年初の50%から22%にまで下がり、本年の予想インフレ率も、年初の30%から7%台にまで下がっている。
外国からの直接投資の流入も急速に回復しており、99年には、民営化関係を含めて、200億ドルの投資が見込まれている。
1月のレアル切下げによって輸出が増大している。本年は、数年来の貿易赤字を脱し、44億ドルの黒字が見込まれる。
国債は、国内及び国際市場で順調に消化されており、格付けも引き上げられた。
このようにブラジルは、1月のレアル切下げによる経済的困難を克服し、将来の力強い発展に向けた展望が開かれつつある。
7月からは、レアルプランを補完する施策として、英国型のインフレ・ターゲット・システム導入に関する検討を始める。
米国、中南米諸国との経済関係は良好である。レアル切下げによって懸念されていた、アルゼンチンとの経済関係については、6月7日に、カルドーソ大統領とメネム大統領が、メルコスールのさらなる発展に向けた話し合いを行なうことで、解決に向かっている。
また、6月末には、ラテンアメリカ諸国とEU加盟国の首脳会議が開催され、将来的な自由貿易地域創設を視野に入れた、経済関係の強化について、話し合われる。
現在国会では、投資環境を整備する法律や憲法改正についての審議が進んでいる。
6月末には、石油資源開発に関する入札が開始され、国営企業ペトロブラスによる、石油資源の独占の時代は終焉を迎える。
今年の民営化は、石油や電力などエネルギー分野が中心となるであろう。
9月2日に、東京で開催される第8回日本ブラジル経済合同委員会には、ブラジル政府を挙げて支援していく。
同会議を、さらに意義あるものとするためには、両国の産業界が年間を通じた対話を行なっていく必要がある。緊密な情報交換、共同プロジェクトや共同研究の推進等を通じ、産業界主導による両国経済関係強化が実現していくことを強く期待する。