経団連くりっぷ No.106 (1999年7月22日)

今井会長の一言


7月1日(木)
関西会員懇談会

「本年1〜3月期の実質GDP成長率は、前期比で1.9%、年率で7.9%と極めて高い数字になりました。しかしながら、その中身をみてみると、手放しで楽観出来る状況にはございません。第1に、公共投資が年率47兆円ペースと過去のピークを5兆円近く上回っております。これは期末の計算の仕方の問題もあって、いずれ下方修正されることになると思います。第2に、昨年の7〜9月期と10〜12月期の落ち込みの反動や信用保証協会の貸付で中小企業の投資が予想以上に増加したことが影響しています。しかし、機械受注等の先行指標を見る限り、今後の数字は予断を許しません。政府・与党には、引き続き経済の実態を慎重に見守りながら、当初予算や少子化や雇用対策中心の補正予算を確実で切れ目なく執行していただきたいと存じます。」

7月5日(月)
グレン・フクシマ在日米国商工会議所会頭の今井会長表敬

「経営者の景況感がだいぶ変わってきましたが、実態について楽観している人は多くありません。景況感の改善には、金融の安定の影響が大きいのですが、公共投資や住宅もプラスになっており、在庫調整も最終局面にあります。東南アジアも明るくなってきており、あとは消費が上昇気流にのるかどうかです。消費と民間設備投資が回復しないと、景気の自立回復にはなりませんが、まだその動きが見えてきません。失業率はもう少し上昇するかもしれませんが、今回補正予算も組んでおり、それほど心配はいりません。株価の上昇も名目で100兆円近い資産効果をもっており、だいぶ明るくなっています。」

7月8日(木)
首都機能移転シンポジウム

「行政のスリム化や規制緩和、地方分権が進展し、国・地方の財政が逼迫するなかで、首都機能移転には国民のなかに反対論があるのも事実です。こうした中で、われわれは今なぜ首都機能移転なのかの理論を再構築し、世論に訴えかけて、納得していただく必要がございます。小さな政府の必要性、21世紀における新しいモデル都市づくりの必要性、首都のリスクマネジメント機能を高める必要性は依然として重要な課題であります。私たちが将来の世代に、より住みやすく、活力のあふれる日本を残していくためにも、首都機能移転について国民のコンセンサスを得る努力が求められています。」


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