経団連くりっぷ No.106 (1999年7月22日)

オーストラリア首相ジョン・ハワード閣下歓迎昼食会(経済6団体共催)/7月6日

明日の成功は今日の改革にかかっている


公賓として来日したハワード・オーストラリア首相を歓迎し、経済6団体による昼食会を共催した。首相は、スピーチの中で、オーストラリアがこれまで進めてきた経済改革の成果を説明するとともに、WTO次期自由化交渉において日本が果たすべき役割の重要性を強調した。

ハワード首相説明要旨

ハワード首相

  1. オーストラリア経済
  2. 現在のオーストラリア経済は、過去30年間で最も好調である。オーストラリアの輸出の約60%が東アジア向けであり、同地域との関係が密接であるため、アジア通貨・金融危機が発生した際は、その影響が大変心配された。しかし、過去6四半期を通じてオーストラリア経済成長率は年率4.5%以上を維持している。
    これは、思い切った構造改革、規制緩和、民営化によって、オーストラリア経済の柔軟性と競争力を高めた結果である。まさに「明日の成功は今日の改革にかかっている」という言葉の通りである。具体的政策としては、財サービス税の導入と所得税の大幅減税を柱とする包括的な税制改革、労働市場における規制緩和、電気通信会社テルストラの民営化等を進めた。今後は、シドニーを国際金融拠点にすることを計画しており、そのために金融取引にかかる取引税を廃止する。

  3. 日本経済
  4. 日本経済は、未だ幾つかの問題を抱えているものの依然強力である。世界はその力を過小評価してはならない。減税と財政支出による景気刺激策の効果が出ており、不良債権問題も改善されつつある。
    日本経済の回復こそがアジア地域の持続的発展の鍵である。日本経済が健全性を取り戻し、アジアの繁栄と安定に向けてリーダーシップを発揮することを期待している。

  5. WTO次期自由化交渉に向けて
  6. 国際経済の分野では、WTO次期自由化交渉の開始に向けての調整が今年の最重要課題である。
    日本における雇用の増大と生活水準の向上を支えてきたものは市場アクセスの改善である。また、日本の発展は、他のアジア諸国の模範となり励みとなってきた。今後も、日本自らがより一層の市場開放を進め、次期交渉においても主導的役割を果たして欲しい。それこそが日本の責任だと思う。
    オーストラリアとしては、食糧安全保障または農産物自給の拡大の圧力が増すことに懸念を抱いている。WTOの次期交渉で、農産物市場の開放も進むことを強く望んでいる。


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