WTOサービス自由化に関する懇談会/7月1日
慶応大学法学部の田村次朗教授ほかより、6月1、2日に米国ワシントンにて開催された「ワールド・サービス・コングレス(WSC)準備会合」(米国サービス産業連盟−CSI、ブルッキングス研究所ほか主催)における主な論点などについてきいた。
本年11月に、各国政府代表者、サービス産業関係者、学者等を集めアトランタで開催される予定の「WSC」に向けた、専門家による準備会合が6月にワシントンで開催された。主催者のCSIは、日本の事業者団体とは異なり、「サービス貿易自由化」という特定の目的に向けて組織されたロビー団体である。
WSCに向け、サービス貿易自由化交渉に関する種々のペーパーが研究者によって準備されており、中間報告が行なわれた。特筆すべき主張は次のとおりである。
競争政策に関し、米国は競争法の議論をWTOで行なうべきではないと述べつつも、基本電気通信サービスなどの分野において、相手国市場への参入が困難な場合には競争制限を理由にセーフガードを発動する、いわゆる「競争セーフガード」の概念を提起している。競争法における文言の定義は貿易法に比べ緻密である。競争法上の概念を安易に貿易法に持ち込み、貿易法の解釈の幅を狭めて良いのか、議論が必要である。
さらに、サービス協定において「市場アクセス」というモノの貿易にはない概念があるが、競争法上の「市場参入」と異なり、緻密な定義がなされていない。こうした定義を曖昧なままにしておいて良いのか、日本として議論が必要である。
電子商取引については、電子商取引の法的安全性確保のための基盤整備が必要であると考えられる。そのための消費者保護、不正アクセスの禁止などの問題をWTOで扱うべきかは意見が分かれるところである。
今後、日本としては、