経団連くりっぷ No.106 (1999年7月22日)

1999年度日本コロンビア経済委員会 総会(委員長 槙原 稔氏)/6月30日

1999年は、日本・コロンビア関係緊密化の年に


日本コロンビア経済委員会では99年度総会を開催し、98年度事業報告・決算、99年度事業計画・予算を審議、承認した。当日は審議に先立ち、外務省中南米局の山田彰中南米第二課長より、最近の日本・コロンビア関係およびコロンビアの政治・経済情勢について説明をきくとともに懇談した。

山田課長説明要旨

  1. 日本とコロンビアとの関係
  2. 1999年は、5月のパストラーナ大統領の来日、7月の第4回日本コロンビア経済委員会合同会議のボゴタでの開催、日本人移住70周年と、日本とコロンビアの二国間関係の緊密化にとって重要な年である。
    パストラーナ大統領の訪日のテーマは、

    1. 1月のコロンビア地震に対する日本の官民緊急支援への謝意、
    2. 国内の和平交渉プロセスに対する日本政府の支持、
    3. アジア・太平洋諸国との民間経済交流の活発化、
    の3点であった。3.に関してパストラーナ政権は、首都ボゴタから太平洋側の港湾都市へのアクセスを確保し、太平洋諸国への輸出の拡大を目指す「太平洋アクセス構想」を打ち出している。

  3. 国内和平問題解決へ向けた努力
  4. コロンビアは、中南米で最もゲリラが活発な国であり、経済発展の大きな障害となっている。パストラーナ大統領は、最大の左翼ゲリラ・グループであるFARCと、7月7日に正式に交渉を開始する等、積極的に和平問題に取り組んでいる。また、プラン・コロンビアという和平投資基金により貧困を撲滅することで、和平の根本的解決を図ろうとしているが、交渉プロセスの長期化が予想される。
    他方で、第2のゲリラ・グループであるELNによる事件の頻発等、大都市を除き、コロンビア全体の治安情勢は改善していない。

  5. 経済概況
  6. コロンビア経済は大変厳しい状況にある。石油およびコーヒー価格の低迷を大きな要因として、98年の成長率は0.6%、99年の第一四半期の成長率は−4.8%となった。さらに、高い失業率、製造業及び建設業の業績悪化、銀行の不良債権等の問題がある。このような状況下で、コロンビア・ペソ建国債の格付けは、一段階下がる方向で検討が進められている。為替は、コロンビア経済の先行き懸念から、6月に入ってペソ安が急速に進行し、6月27日に中央銀行は、為替バンドの中央値を9%切下げた。

  7. 日本政府による支援
  8. 今後の対コロンビア経済協力の柱は、太平洋アクセス構想の推進及び麻薬代替作物奨励であり、可能な限り協力していきたい。
    また、5月13日には、公益事業会社であるメデジン市公社(APN)によるガス配管及び電力配給プロジェクトに対して、1億6,950万ドルの輸銀アンタイド・ローンが調印された。


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