経団連くりっぷ No.106 (1999年7月22日)

1999年度防衛生産委員会 総会(委員長 増田信行氏)/7月6日

わが国防衛の重要政策課題について


経団連防衛生産委員会は、7月6日に総会を開催し、98年度事業報告・決算、99年度事業計画・予算を承認するとともに、新委員長に増田信行三菱重工業会長を選任した。当日は、防衛庁の江間清二事務次官を招き、わが国防衛の重要政策課題について話をきくとともに懇談した。

江間事務次官説明要旨

  1. わが国の防衛問題に関する議論の経緯
  2. 55年体制が崩壊して以来、防衛問題について地に足のついた議論が行なわれるようになってきた。特に、細川内閣のもとでの防衛問題懇談会の発足および日本の安全保障と防衛力のあり方に関する検討、村山内閣時の新防衛大綱と現中期防衛力整備計画の策定、橋本政権下での日米安保共同宣言のとりまとめやACSA(日米物品役務相互提供協定)の締結などにより、国内での議論が進み、防衛を巡る社会環境も変化してきている。

  3. 周辺各国との安全保障対話
  4. 冷戦時代が終わり、地域の安定化のために、安全保障に関する各国との対話を増やし、お互いの国防・防衛政策の透明性を向上させ、信頼醸成措置の充実に心がけている。例えば、日ロ間では、相互の国防大臣・防衛庁長官あるいは参謀総長・統幕議長間の対話等を行なっているほか、日中、日韓等の二国間関係のみならず、多国間においても、積極的に対話を進めており、防衛力整備と並んで、防衛政策の重要な柱と位置づけている。

  5. 「日米防衛協力のための指針」の実効性確保に向けた法整備
  6. 1996年4月の日米安全保障共同宣言において、78年に締結された日米防衛協力のための指針の見直しが合意され、97年9月に新たな指針が日米間で策定された。新たな指針では、情報交換や政策協議等の平素から行なう協力、日本に対する武力攻撃に際しての対処行動に加え、周辺事態における協力に関する規定が拡充された。具体的には、

    1. 日米両国が各々主体的に行なう活動における協力(捜索・救難、経済制裁の実効性確保のための活動等)、
    2. 米軍の活動に対する日本の支援(施設の使用、後方地域支援等)、
    3. 運用面における日米協力(情報収集、警戒監視、機雷除去等)、
    等である。
    そして、新指針の実効性を確保し、上述のような自衛隊の活動を円滑にするために必要な法整備として、昨年の国会で周辺事態安全確保法をはじめとする指針関連法案が提出され、ほぼ1年の議論を経て今年5月24日に成立した。
    なお、上述のような政策上の課題に加え、調達に関しても、昨年の不祥事を契機としてさまざまな改善策を講じてきているところであり、具体的な実施にあたっては、将来の健全な防衛行政の推進のため、産業界の支援・協力をお願いしたい。


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