第47回北海道経済懇談会/7月29日
「産業競争力の強化と地域経済の活性化」をテーマとして、経団連・北海道経済連合会(道経連)共催の標記懇談会が札幌市において開催された。経団連側は今井会長、古川・辻・前田・大賀副会長が出席し、道経連首脳と意見交換を行なった。
昨年、北海道拓殖銀行から北洋銀行および道内金融機関への営業機能が無事継承されたことで、金融機関への信用も回復しつつある。他方、道内の雇用情勢は依然として厳しい状況が続き、個人消費や企業の設備投資も相変わらず冷え込んでおり、道経済の今後の動向が懸念される。
さらに、中央省庁改革関連法の成立に伴い、北海道開発庁が国土交通省に組み込まれるとともに、本年10月には、北海道東北開発公庫が日本開発銀行と合併し、日本政策投資銀行として新たに発足するなど、道経済の枠組みが大きく変化しつつある。
苫小牧東部開発については、7月30日に新会社設立の運びとなるが、北海道はもとよりわが国にとっても大きな可能性を持つ貴重な開発空間を、道活性化の切り札とするよう、官民一体となって努力していきたい。
21世紀の活力ある地方を創造するためには、地方分権を推進し、「地域が自ら考え、実行していく」ことが一層重要となろう。
北海道が置かれている厳しい現状を乗り越えるため、道は本年4月、21世紀に向けて、自主・自律の北海道をめざす「構造改革の基本方向」を取りまとめた。この「基本方向」では、
2年にわたる経済低迷を経て、今年に入ってから回復の兆しが見られるとはいえ、道においては閉塞感が依然として根強く、デフレ懸念も払拭されていない。
今後は、
21世紀には、知識・技術・ノウハウの蓄積が道発展の源泉となるであろうが、中小企業の多い北海道では、その重要性にもかかわらず、道内GDPの1%未満の人材・資金しか研究開発に投入できていない。
そこで、中小企業向けの総合的な研究開発促進制度のほか、地域の産学官が研究開発について創意工夫するような「地域技術開発創生資金」を設け、全国の自治体に配分することなどは一考に値しよう。
地方分権については、権限と財源をセットで地方に委譲し、地域間の財政不均衡を是正する適正な財源の再配分が必要である。
道の産業構造は資源供給型、公共投資依存型という特徴を有しているが、前者については、経済のグローバル化によって海外から輸入される農林水産資源との厳しい競争にさらされ、後者に関しては、道に投資される公共事業予算の縮小が予想される。
産業構造の転換、高度化を図る上で、地域に蓄積された知識・技術・ノウハウの事業化が重要であり、来年4月から事業を開始する「北海道産学官協働センター」の経営に向け、法制・税制の整備を進めたい。
産業クラスター創造活動については、道内13ヶ所に産業クラスター研究会が設立され、既に7件のプロジェクトを立ち上げるなど、クラスター構想が地域に定着しつつあり、今後とも積極的に取り組みたい。
広大な面積を有する北海道において、効率的な人流・物流を実現する上で、高速交通手段の整備は最優先課題の一つである。高速道路の整備率は全国の56%に対して30%に過ぎず、函館-札幌、札幌-釧路の未開通区間の高速道路の早期完成が望まれる。
北海道新幹線は2018年までの着工のめどさえ立っていないが、新幹線建設を新しいスキームに明記し、今後10年以内に完成させるべく官民を挙げて取り組んでいる。
また、情報通信は、広大な北海道では他地域以上にその活用のメリットが大きいことから、道の地域特性に合致した情報通信基盤の整備を広域で進める必要がある。
前田副会長から産業競争力会議の基本的な考え方と取組みの状況、大賀副会長から規制改革の推進、また、辻副会長から最近の環境問題に関して、それぞれ説明があった後、古川副会長より新しい全国総合開発計画における戦略と北海道地域の開発との関連について発言がなされた。
最後に今井会長が、北海道側の取組みに対して経団連はできるだけの応援を続けていくと、締め括った。