経団連くりっぷ No.107 (1999年8月12日)

新入会員代表者との懇談会(司会 内田事務総長)/7月7日

新入会員代表者より経団連に対する率直な意見・要望をきく


経団連では、新しく入会した会員の代表者から、経団連に対する意見・要望や各企業・業界の当面する課題等をきき、活動に反映させている。当日は新入会員代表者6名および今井会長、内田事務総長ほか事務局役員4名が出席し、率直な意見交換を行なった。

新入会員代表者発言要旨

  1. チバビジョン 内山 賛平社長
  2. コンタクトレンズ業界は、他業界同様、流通構造の変化や競争の激化等で、価格の低下などさまざまな問題を抱えている。主製品のコンタクトレンズは医療用具なので、厚生省の審査基準も明確だが、コンタクトレンズの消毒薬については、医薬部外品のため明確なガイドラインがない。各社手探りでいろいろな試験をし、申請をしているが、何度も試験をやり直すということが起きている。
    また、今までは申請後に認可がおりるまで、約3年間かかっていたので、業界団体を通じて、厚生省に改善方をお願いした。近々改善されるものと期待しているが、経団連も側面から支援して欲しい。

  3. サンクス アンド アソシエイツ 橘高 隆哉社長
  4. コンビニエンスストアは、流通業界の中でも出店に当ってはほとんど規制を受けないかわりに、何の保護もない。そのようなことから、ある意味ではこの業界は健全に育っているのではないかと思う。
    今後、当業界が発展していくには、新しい情報ネットワークとの結び付きや、ATMの導入など金融ビジネスの研究を行なう必要がある。
    コンビニエンスは、高額品を扱っていないので、あまり好・不況には左右されないが、24時間営業なので、時間帯の売上にはその影響が顕著に出てくる。景気が悪くなると夜間の売上が落ちるが、今年に入ってからは良い兆候が出てきている。

  5. 川商ジェコス 今井 良治社長
  6. 当業界は、5社位でシェアが95%以上を占めていたが、最近流れが変ってきて、建設業界が今のように閉塞状況に陥ると、だんだん生き残りが難しくなってきた。
    また、当業界は建設業を支えるいわゆる基礎工事の特殊技能集団で、大変高い技術力を各社とも備えている。今後は、生き残りをかけ、シートパイルやH形鋼の様な汎用性に富んだ鋼材の研究開発に業界を挙げて取り組んでいく必要がある。
    経団連は、勤労者への過酷な徴税システムを改め、可処分所得が増えるような税制改革を提言して欲しい。
    また、高齢化社会を迎え、年金保険料の負担増が問題となっているので、改善方をお願いしたい。

  7. 日本マクドナルド 藤田 田社長
  8. 当社は、ほぼ毎日来店するような若年層に支えられ、あまり不況の影響を受けずに成長してきた。ハンバーガーショップには沢山のノウハウがある。例えば、パンは17ミリ位の厚さで食べるのが一番美味しいとされ、コーラの温度は全世界、摂氏4度に設定されている。摂氏4度が冷たいものを一番美味しいと感じる温度だからである。日本の小売業は、そのような研究をしていない。もっと革命的な方法を導入しないといけないと思う。
    また、日本に比べて欧米先進国の消費税はみな15〜20%と高いが、法人・個人の所得税が安い。税制は世界標準程度でないと、ビジネスの世界では競争に勝てない。
    例えば、行政改革を進める必要がある。道路公団は毎年通行料を値上げしているが、営業努力、宣伝等も行なっていない。公団も広告を出すとかいろいろな方法で収入を確保し、国民のために通行料を下げるよう努力すべきである。

  9. アサヒ飲料 佐野 主税会長
  10. 現在、流通業界の環境は大きく変化している。
    第1は、自由化の進展により外資大手が日本に出店する動きがあり、このままでは個人商店の経営が成り立たなくなってしまう。
    第2は、消費動向の激しい変化である。清涼飲料業界は去年までは物流ベースで毎年3%くらい増え続けたが、今年は若干のマイナスとなってしまった。今、消費を動かすのは10〜20代の若年層で、この消費を上げるために、商品開発を絶えず繰り返し行なっている。
    環境問題にも重大な関心を持っている。当業界は、完全リサイクル化をめざし、現在アルミ缶・鉄缶は約8割をリサイクルしている。
    経団連には、少子化・教育問題への対応も是非お願いしたい。

  11. 伯東 高山 成雄社長
  12. 日本の国家や企業がグローバル化ということをいうのであれば、ビジネスのやり方を変えないといけない。ビジネスのビヘイビアが世界の環境にはそぐわない。すなわち、ビジネス全体を世界水準に合わせないと、日本だけが孤立化してしまう。支払条件等も改善しないと、倒産の時などに社会に与える影響が大き過ぎる。
    従来の日本の商習慣を経団連の努力で何とか改善して欲しい。特に日本の半導体業界は、台湾・韓国などにどんどん追い上げられ、窮地に立たされている。
    今、国内あるいは海外との合従連衡が叫ばれているが、海外の企業と合従した場合は、カルチャーの相違にわれわれのメンタリティがマッチせず、外国に負けてしまう。そうならないためには、教育システムや社会制度などを変え、個人が自由にモノを言える環境をつくる必要がある。


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