経団連くりっぷ No.107 (1999年8月12日)

国際協力委員会(共同委員長 香西昭夫氏)/7月12日

小和田恒世銀総裁上級顧問と対アフリカ協力について懇談


国際協力委員会では、本年4月13、14の両日、米ワシントンの世銀本部において、第3回経団連・世銀グループ合同会議を開催し、アフリカを含む途上国に対する協力のあり方について幅広く意見の交換を図った。同会合には、ウォルフェンソン世銀総裁の上級顧問として小和田恒前駐国連大使も出席した。これを受けて、わが国企業の対途上国ビジネス促進のために世銀グループとしてなしうることについて意見交換するため、標記会合を開催した。

  1. 小和田上級顧問説明要旨
    1. アフリカ・ビジネスの重要性
    2. ポスト冷戦構造の中で、いかに途上国開発に取り組むかが今日の大きな課題になっている。中でもアフリカ諸国は、開発に乗り遅れるとの強い危機感を抱いており、自主的・自立的な開発の必要性に目覚め、政府開発援助(ODA)よりも民間の貿易・投資の重要性に気づいている。その結果、アフリカ諸国のビジネス環境は、急速に好転しつつあり、多くの機会が生まれている。
      しかし、わが国にとってアフリカは遠く、的確な情報も入手しづらい。

    3. 援助国・国際機関の期待と変化
    4. このような状況にあって、援助国政府・国際機関の姿勢も変化しつつある。たとえば世銀では、ウォルフェンソン総裁が「包括的な開発のためのフレームワーク」を提唱している。日本政府にしても、新開発戦略に則った新たな動きがでてきている。
      日本政府や世銀グループなどの民間企業を支援する枠組みも整っている。今後、日本の経済界が、アフリカ開発を進める上で、わが国政府や国際機関と協力していく可能性はないか、多大な関心をもっている。私自身、そのコーディネーターとしての役割を担いたいと考えている。

    5. アフリカの経済成長
    6. 1960年代には、アフリカと東南アジアの1人あたりGNPには殆ど差がなかったが、今日の経済発展には大きな隔たりがある。
      余り知られていないが、アフリカでは、90年代に入ってから、20カ国以上が3%以上の経済成長を達成している。また資源が豊富なことや成長余力が大きいことも魅力である。しかし日本からの投資は少ない。
      昨年の日本のサブサハラ諸国との貿易は、旧ソ連・東欧諸国との貿易額を上回っている点に注目し、今後とも、アフリカ・ビジネスに取り組んでもらえれば幸いである。

  2. 経団連側発言要旨
    1. 世銀が民間重視・民営化支援を推進しているためにアフリカ諸国の農村部のインフラ開発が遅れ、かえって国内格差が拡大している。とくに情報通信面の問題は顕著であり、協力が求められている。

    2. 日本企業のサブサハラ・ビジネスの過半が南ア向けである。その他のアフリカで成功した投資例は少ない。今後は資源開発を中心にいかに成功例を生み出すかにある。


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