経団連くりっぷ No.107 (1999年8月12日)

1999年度日本・インドネシア経済委員会 総会(委員長 上島重二氏)/7月19日

新委員長に上島重二 三井物産社長が就任


日本・インドネシア経済委員会では、99年度総会を開催し、98年度事業報告・収支決算、ならびに99年度事業計画・収支予算を原案通り承認するとともに、役員の改選および補充選任を行なった。また、当日は、外務省南東アジア第二課の山崎純課長より、インドネシアの総選挙後の政治・経済の動向について説明を受けた。

[インドネシアの政治・経済の動向]
 山崎課長説明要旨

  1. ハビビ政権について
  2. ハビビ現政権は、当初から政治的、経済的困難に直面しながらも、政治改革の推進、IMFプログラムの実施などに努めてきたが、スハルト前大統領の不正疑惑を十分追及できないと見られている点が弱点となっている。わが国は、東南アジアにおけるインドネシアという国の重要性に着目して、インドネシア国民を支援してきた。

  3. 総選挙の実施
  4. インドネシアの総選挙は、6月7日に行なわれ、わが国も枝村元駐インドネシア大使ほか専門家から構成される選挙監視団を派遣した。実際に選挙の場に立ち会った監視団の評価によると、若干の技術的な問題はあったが、全体としては自由かつ公正に行なわれた。また、インドネシア国民が今回の選挙を自分達の将来の重要な節目として認識しており、相当な熱意を感じたという。選挙集計の遅延が取り沙汰されているるが、そもそも、今回の選挙は、迅速性を犠牲にしても公正さを重視するという考えに基づいている。集計の遅延は、技術的な要因によるものと考える。

  5. 大統領選出
  6. 今回の選挙では圧倒的多数を獲得した政党はなく、今後、多数派工作が進むと見られる。大統領選出に関しては、当面、第一党の闘争民主党を中心に連立が組まれるという流れと与党ゴルカルが中心となり多数派を確保するという流れの2つが考えられる。現時点では、どちらが有利とはいえないが、国民が変革を求めていることには十分留意すべきであろう。

  7. 経済面
  8. インドネシア経済については、銀行再編、民間債務問題など課題が多い。ルピアは安定化しつつあるが、為替市場の商い自体が厚くない点は注意を要する。華人の動向も注視すべきであり、昨今、華人がインドネシアに戻りつつあるとの見方もある。

  9. 東ティモールについて
  10. 独立の賛否を問う住民選挙が8月に行なわれるが、結果はともかく、予定通り平和的に実施されることが重要である。


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