アジア・大洋州地域委員会(委員長 熊谷直彦氏)/8月3日
当委員会では、アジア経済の再活性化、そのためのわが国官民の協力策、アジアにおける日本企業の競争力等に焦点を当てて対応策を今後検討していく予定である。また、ABAC(APECビジネス諮問委員会)日本代表の活動を支援するとともに、APEC、ABAC活動への取組みを検討するため、ABAC日本支援協議会を設立すべく準備が進められている。そこで、外務省アジア局の佐々江賢一郎参事官より最近のアジア経済情勢ならびにわが国政府の取組みについて、経済局開発途上地域課の宮川眞喜雄課長よりAPEC活動の現状と展望等について話をきいた。
アジア諸国の実体経済は依然厳しいが、最悪期は脱したと考えられる。今後の課題としては主に以下の4つがある。即ち、
わが国は積極的にアジア諸国を支援してきており、アジア経済の回復過程において重要な役割を果たした。これまで約800億ドルの支援を表明し、内約680億ドルが具体化している。
これらわが国のアジア支援策の実施状況や効果等を評価するために、アジア経済再生ミッション(団長:奥田碩日経連会長)を、8月末から9月初めにかけて派遣する。このミッションでは、支援策の評価に加え、通貨危機の再発防止のための金融システムや通貨システムのあり方を検討するとともに、社会的弱者対策や人口・エネルギー問題にも焦点を当てたい。
APECは、貿易・投資の自由化・円滑化を進めてきたが、アジア経済危機により、自由化に対する疑念が広がり、転機を迎えている。議長国ニュージーランドは、今年のAPECにおいて、3つの柱を掲げている。第1の柱は「市場の強化」である。自由化の利益がその国の経済に均霑されるためには、市場機能が十分に強化されていなくてはならない、という考えを前提にしたものであり、具体的には、「競争政策および規制緩和の非拘束原則」を作成している。第2の柱は、「域内におけるビジネス機会の拡大」である。APECの活動をビジネスに携わる域内の人々の利益に繋がるよう活性化させるということである。第3の柱は、「APECへの支持拡大」である。
ABACの意見をAPECの活動に、より一層生かそうという動きが強くなっている。この機会に、日本の経済界の意見がAPECに反映されることを希望しており、それとの関連で、経団連が中心となってABAC日本支援体制の整備が進められていることを嬉しく思う。