経団連くりっぷ No.108 (1999年9月9日)

国際協力委員会(共同委員長 香西昭夫氏)/8月3日

世銀グループの民間セクターとのパートナーシップのあり方について意見交換


さる4月13〜14日に開催した第3回の経団連・世界銀行グループ合同会議において、世銀側は民間セクターとのパートナーシップを促進するための内部ルールの制定を示唆した。これを受けて、この度、日下部元雄副総裁を団長とするミッションが来日したことを機に会合を開催し、世銀の考えを聴取するとともに幅広い意見交換を行なった。

日下部副総裁説明要旨

  1. 世銀の対民間交流の方針
  2. アジア危機の教訓を受けて、世銀は、マクロ経済偏重から、関係各界と協同して政府・民間のガバナンスや社会的なセーフティーネットづくりを重視する方向へと変化している。
    世銀にとって民間セクターとのパートナーシップの確立は最近の課題であり、体制も整備されていない。本年初にウォルフェンソン総裁が提唱した「包括的な開発のためのフレームワーク(CDF)」も、経済界やNGO等の民間セクターの役割を重要視しているが、これまで世銀グループ全体のルールがなかったため世銀から民間に共同作業を提案できる状況になかった。そこで今般、世銀グループ全体の基本方針を策定し、世銀が積極的に民間とのパートナーシップを構築しうる環境を整備することとした。

  3. パートナーシップの種類
  4. 世銀の検討している民間とのパートナーシップは、いずれもCDFに沿って、政策パートナーシップ、改革パートナーシップ、総合パートナーシップの3種類に分類される。
    政策パートナーシップは、特定国の特定分野の開発のために各界と協同して途上国の社会・経済開発のための政策対話を行うというものである。このパートナーシップの門戸は関心のある全ての官民に開かれており、プロセスも結果も公表される。
    改革パートナーシップは、世銀が単独でなし得なかった開発プロジェクトに、民間セクターの知識や経験を導入し、効果を高めようというものである。参加する民間セクターは、当該プロジェクトに関して優位な立場にたつので、関連事業への入札に制限を受けることもありうる。
    総合パートナーシップは、これまで世銀が単独で実施してきたプロジェクトを、民間セクターの投融資プロジェクトと共同実施することにより、より高い効果を求めようというものである。本アプローチは、世銀が実施するプロジェクトの周辺を民間が自らのリスクで実施するというものであり、当然入札への制限もない。

  5. 今後のプロセス
  6. 本基本方針は、いまだ素案の段階であり、今後世界各国で同様の意見交換の場を開催し、率直な意見を聴取した後、世銀グループの統一ルールとして採用する。経団連の意見をルールの中に十分反映させていきたいので、私あてにご連絡いただければ、ありがたい。


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