経団連くりっぷ No.109 (1999年9月22日)

金鍾泌大韓民国国務総理歓迎昼食会(経済5団体共催)/9月2日

「協力の新時代」を開いていくことは歴史的創造作業


経団連はじめ経済5団体は、公賓として来日した金鍾泌大韓民国国務総理を迎え、昼食会を開催した。金総理はスピーチの中で韓日両国民が「協力の時代」を開いていくことは歴史的創造作業であり、理想的な協力関係を構築し模範を示すべきと力説した。

金 国務総理

金国務総理スピーチ要旨

  1. 文明史的転換期と韓日の対応
  2. 21世紀を目前に、人類は国際化の進展、イデオロギー対立の終焉、といった文明史的転換期に直面している。
    国際化を米国化と誤解する向きもあるが、米国とは歴史的背景、文化および社会条件が異なる韓日両国は、中庸の哲学と相互信頼の精神を、国際化を補完する21世紀の理念とすべきである。

  3. 韓日協力の新時代に向けて
  4. 韓日両国は一衣帯水の隣国同士である。国交正常化から34年が経った今こそ、両国は過去、現在、未来に関する理解と視点を共にしあらゆる障壁を取り除くべきである。
    両国民が開拓者精神を発揮し21世紀を目前に「協力の新時代」を開いていくことは国交正常化に次ぐ歴史的創造作業である。21世紀には最も理想的な協力関係を構築し他の国々に模範を示すべきである。

  5. 韓国における経済構造改革の推進
  6. 韓国は新政府の発足以来、経済構造改革に努力してきた。その結果、今年上半期のGDP成長率がかつての水準に回復するなどマクロ指標は大幅に改善し、国際社会での信用も回復した。債務返済期間の繰延べや輸銀クレジット供与など日本経済界の積極的な協力と両国経済人同士の信頼関係が大きな力となった。
    また、韓国は輸入先多角化制度や外国人による株式保有の上限の事実上の撤廃、外為取引の完全自由化など投資環境を整えつつある。協議中の「投資協定」と「相互認定協定」が締結されれば、「二重課税防止協約」とともに日本企業の投資が円滑化するだろう。さらに、日本には関税の引下げ、非関税障壁の撤廃と韓国製品の一層の輸入を望む。

  7. 相携えて共生する世界
  8. 日本にはアジア諸国のためにさらに繁栄してもらいたいが、最近の日本の安保関連の動きが周辺諸国との緊張を高め平和と安定を損なわないよう期待している。
    21世紀には相携えて共生する世界を築きたい。地域主義の台頭に鑑み、韓日中三国が東アジア地域協力体形成のために先導的役割を果たすべきである。
    韓日両国民が、近くにいる友人こそ一番仲の良い友人になることを世界に示したい。


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