「日中植林協力フォーラム」第1回シンポジウム /9月6日
江沢民国家主席との2回にわたる会談で今井会長が提案した環境・緑化協力を21世紀の日中協力の柱の一つに発展させるため、中国の植林事業に従事あるいは関心を持つ関係者で日中植林協力のあり方を議論する「日中植林協力フォーラム」の活動が、標記の第1回シンポジウムを嚆矢としてスタートした。シンポジウムには、北は北海道から南は鹿児島までの400名を超える参加者が詰め掛けた。
大國昌彦中国委員会植林協力部会長による総合司会のもと、今井会長の開会挨拶を皮切りに、真鍋賢二環境庁長官をはじめ5名の来賓が演壇に立った。その後、日本林学会の箕輪光博会長(東京大学教授)と中国国家林業局国際合作司の曲桂林司長が基調講演を行なった。
箕輪会長は「地球環境から見た中国における植林」をテーマに、植林の持つ社会的意義は、エゴ(見えるもの=経済)とエコ(見えないもの=環境)の橋渡しにあるとの発表があった。曲司長は「中国の林業と植林の問題」をテーマに、中国の林業政策に携わる立場から、中国の森林が現在抱えている問題点と中国の国家政策として進めている生態環境建設について発表した。
吉川賢岡山大学教授のコーディネートのもと、中国の現場で実際植林事業に従事されている方々による現場報告が行なわれた。
現場報告 Iでは、黄土高原緑化と砂漠化防止を実際に手掛けているNGOの代表から、体験談を交えた報告があった。
中国山西省から駆けつけた大同市青年連合会の祁学峰主席と緑の地球ネットワークの高見邦雄事務局長からは、黄土高原における厳しい生態環境と失敗を繰り返しながらも前進させている植林事業の実態について説明があった。日本沙漠緑化実践協会の遠山正瑛会長と沙漠植林ボランティア協会の菊地豊会長からは、内蒙古における植林の状況と今後の展望について報告があった。
現場報告第II部では「日中交流で取り組む生態環境建設」というテーマの下、学問的知見に基づいた植林をどのように実施していくか、各団体の活動報告をきいた。
国際生態学センターの宮脇昭所長からは「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」の取組みについて、スライドで紹介しながら説明があった。グリーンハット基金の遠山柾雄会長は、樹種の選定と地域住民の意見を尊重することが大事であるとの発表があった。最後に経団連の大國部会長からは、経団連が現在検討を進めているモデル植林の構想について報告があった。
最後に、下記の「日中植林協力アピール」を採択し、シンポジウムは閉幕した。
|