フリスチェンコ・ロシア連邦第一副首相講演会(座長 安西邦夫氏)/9月2日
ロシア連邦のフリスチェンコ第一副首相が、日露貿易経済政府間委員会への出席のため来日した。そこで、日本ロシア経済委員会では、同第一副首相による講演会を開催し、最近のロシア情勢と日ロ経済関係等について考え方をきいた。
ロシア経済は、早いテンポで経済危機を克服しつつある(今年上半期の産業生産は4.5%の伸び、インフレ率は低いレベルに抑制)。経済危機に伴うルーブル切り下げはロシアの輸出を促進し、輸入代替品への需要の高まりは国内製造業を活性化した。燃料・鉄鋼資源の国際市況回復は危機克服に好条件となっている(1998年度の貿易収支は170億ドルの黒字、99年度上半期は130億ドル(年度末には300億ドルの黒字と予想)。
ロシア政府は、IMF、世界銀行との合意に基づき経済改革プログラムを実行する。特に、経済危機の主要因が金融システムにもあるとみて銀行制度改革を進めている。また、1年間のGDP分に達するロシアの対外累積債務総額の解決も喫緊の課題である。この8月1日にはパリクラブとの間で合意が成立し、9月14日からはロンドンクラブとの交渉が始まる。ロシア政府は債権国との合意を守る姿勢を示していく。
投資環境については、下院選挙(今年12月)、大統領選挙(来年6月)は全く影響をおよぼさない。政局にかかわらず改革を推進し投資環境整備を進めていく。首相は3回交代したが、私は経済担当者として留任しており経済政策は一貫している。
ロ日共同で推進中のサハリンプロジェクトは、9月にはサハリン2で6万トンの船積みを行なう。生産物分与法(PS法)の関連法令についてはその成立を進める。また、先般、エリツィン大統領が改正外資法に調印したことから新たな日ロ共同プロジェクトが期待される。特に、エネルギー分野は100年計画で臨むべき最も有望な協力分野である。投資保護協定については、下院に優先審議を働きかけているほか、輸銀クレジットラインを有効に活用し、カマズの自動車工場プロジェクト等が実現するよう努力したい。また、日ロ投資会社も両国が実現に努力する。シベリアランドブリッジについては、関係当事者が一堂に会する必要がある。
この10月、ロシアで開催予定の第4回日本ロシア経済合同会議は両国経済交流促進の上で重要な契機になる。私も参加して今後の経済協力について話し合いたい。