経団連くりっぷ No.109 (1999年9月22日)

ヨーロッパ地域委員会(共同委員長 森川敏雄氏)/9月2日

ユーロ発足後もイギリスは世界金融の中心であり続ける

−シティ金融監督・振興長官リヴィン卿との懇談


来日中のシティ金融監督・振興長官リヴィン卿を迎え、森川ヨーロッパ地域委員会共同委員長の司会のもと、懇談会を開催した。懇談会の中でリヴィン卿は、ユーロ第一陣での参加を見送ったイギリスは、なお強力なフィナンシャル・センターであり続けること、およびイギリスのユーロへの参加について時期を見つつも前向きであることを述べた。

リヴィン卿発言概要

  1. 日英関係について
  2. 現在、日本と英国は貿易・投資の面で極めて良好な関係にあり、1,000社以上の日本企業が英国内で活動している。これらの日本企業は英国産業の発展にも寄与している。金融業界に関していえば、現在89社の日本の金融機関がロンドンに進出しており、数多くの日本人が業務に携わっている。ロンドンに進出している金融機関の数では、日本が最多であり、国際金融センターとしてのシティにとって極めて魅力的な存在である。

  3. ユーロへの参加および今後のシティについて
  4. 1999年1月から欧州大陸で導入された単一通貨ユーロについて、英国は第一陣での参加を見送った。しかしながらロンドン(シティ)はユーロ取引の真っ只中にいるといっても過言ではない。なぜならロンドンは世界最大の為替市場であり、実際に単一通貨に参加しているどの国よりもユーロの取扱高が多いからである。そして英国政府としては、欧州全体の経済状況が良好であると判断した上で国民投票を実施し、ユーロ参加に踏み切りたいと考えている。
    ではユーロに参加していない現時点で、ロンドンは金融センターとしてのポジションを維持し続けることができるのか。これからの金融業界の競争がますます激しくなることを考えても、少なくとも短期的には維持できるはずである。ユーロの運営・発展に技術的に大きく関わっている企業のほとんどすべてがロンドンに拠点を持ち、しかも欧州大陸の拠点を閉鎖してロンドンの拠点に業務を集約している企業が数多く存在することは、ロンドンが欧州全体にとっていかに必要不可欠な存在であるかを物語っている。
    日本の企業、特に金融機関はロンドンがいかに重要な地であるか、ということを改めて確認して欲しい。更なる国際化が求められる日本の産業界にとっても、ビジネスを行なう地として、ヨーロッパの中で5年連続で最適地に選ばれているロンドンは、拡大しつつある欧州単一市場と日本の架け橋になることは間違いないのである。


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