経団連くりっぷ No.110 (1999年10月14日)

経団連意見書 /9月29日

「金融システムの一層の強化のために」を公表


金融制度委員会(委員長 片田哲也氏)では、わが国金融が当面する諸課題のうち、2001年4月ペイオフ解禁後の新しいセーフティネットのあり方に焦点をあてた意見書「金融システムの一層の強化のために」をとりまとめ、9月21日理事会を経て、29日付で公表した。以下は提言の要旨である。

諸外国に比肩できる金融システムを築き上げるには、金融機関が不良債権問題の処理に全力を尽くすとともに、再編・提携を推進する必要がある。
同時に、ペイオフの凍結を当初の予定通り2001年4月から解除し、自己責任と市場規律を基本ルールとして確立していくことが求められる。そのため、政府・与党におかれては、下記の点について速やかに青写真を提示し国民の理解を深めるとともに、具体化を急ぐことを要望する。

  1. 金融再編促進のための法制・税制の整備
    1. 次期通常国会における
      1. 会社分割法制とこれに伴う税制措置、
      2. 株式移転・株式交換等に係る税制措置、
      3. 保険相互会社の株式会社化に係る法制等の整備
    2. 連結納税制度の2001年度からの導入

  2. 新しいセーフティネットの整備等
    1. 新しいセーフティネットの整備
      1. 保険金を支払う際に迅速な支払いが可能となるような条件整備
      2. 米国のP&A方式に類似した、営業の一部譲渡を司法手続外で行える破綻処理方式の導入
      3. 承継先が直ちに見つからない場合やシステミックリスクがある場合等に備えたブリッジバンク制度、特別公的管理制度等の例外措置の整備
      4. P&A方式、ブリッジバンクや特別公的管理銀行等の承継先決定の迅速化のため、2次ロスに関するロスシェアリング方式の導入
      1.〜4.の措置により、決済機能の維持は十分可能
    2. ペイオフ凍結解除に伴う財政措置の明確化
    3. 郵便貯金事業の見直し

  3. 自己責任原則の確立と市場規律発揮のための諸制度の整備
    1. 金融サービス法の早期制定
    2. 金融行政における一貫性の一層の強化

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