経団連くりっぷ No.110 (1999年10月14日)

情報通信委員会(委員長 藤井義弘氏)/9月13日

情報通信政策は社会全体の利益増進の観点から行なうべき


元米国連邦通信委員会(FCC)国際局長のピーター・カーウィー カリフォルニア大学世界紛争 協力研究所所長代理が来日されたのを機に、情報通信委員会を開催し、情報通信政策のあり方などについて説明をきくとともに懇談した。

  1. カーウィー氏説明要旨
    1. 米国における情報通信政策
      1. 情報通信革命は、AT&T等の従来の通信新事業者ではなく、ネットスケープやAOLなど、新しいタイプの事業者によりもたらされた。アメリカが情報通信分野で成功したのは、

        1. ネットワーク利用者、及び新技術提供者を優先した政策をとったこと、
        2. 支配的事業者を規制したこと、
        による。

      2. FCCは、コンピューター・ネットワーク開始当時、当時の支配的事業者であるAT&Tに対して、新しいネットワークへの基本伝送サービスを原価ベースかつ定額で提供するよう指示した。現在は、政策の第2段階にあり、ネットワークのアンバンドル化を推進している。新規参入者は、支配的事業者の回線、交換機等と円滑に接続できるようになった。また、支配的事業者が所有する設備の線路敷設権をも持てるようになっている。

    2. 日米での情報通信行政の違い
      1. 米国と比較した日本の大きな違いは、設備所有の有無で事業者を1・2種と区分する規制があることである。アメリカの新しい事業者は、自らの経営判断で設備所有の有無を決定できるため、より効率的・自由かつ安価にネットワークを構築することが可能である。

      2. 長期増分費用方式の導入については、日米で合意に達している。FCCが日本において長期増分費用方式のコストを計算すれば、FCCは、

        1. 最良の技術を用いた場合でネットワークを構築するとともに、
        2. そのコストは利用量に依存しない固定費用であること、
        を前提とする。

      3. このような政策の目的は、ネットワークを新しい事業者に共有させることにある。その結果、ユーザー、新技術提供者が革新的となり、社会全体に利益をもたらす。日本においても、このような観点から情報通信行政を推進すべきである。

  2. 懇談要旨
  3. 経団連側出席者からは次のような意見があった。

    1. 日米で接続料に関する見解の相違は、データの違いによる。見解の相違を払拭するにはデータを付き合わせて議論することが必要である。
    2. 米国の地域事業者は長距離事業者からユニバーサル・サービスのために1兆円の補填を受けているときいている。
    3. 日本の場合規制が多く、高コスト構造になっていることが問題である。


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