経団連くりっぷ No.110 (1999年10月14日)

創造的人材育成協議会 企画部会(部会長 森本昌義氏)/9月14日

教育改革について文部省寺脇政策課長にきく


創造的人材育成協議会 企画部会では、21世紀を担う人材育成のあり方について検討を行なっている。最近、創造性の発揮、英語・コンピュータの活用、倫理感の涵養等への要請が一段と高まるなかで、臨時教育審議会の答申に基づく教育改革の進捗状況について、文部省の寺脇 研政策課長より説明をきくとともに懇談した。

  1. 寺脇課長説明要旨
    1. 教育改革の方向性
      1. 基本理念「生涯学習」
        「生涯学習」とは、人生80年を視野に入れ、また、主体が国民一人ひとりであることを示したものである。

      2. 20世紀型教育から21世紀型教育へ
        これまでの昭和20世紀型教育は、中卒で就職する人が60%を占めていた時代の名残りで、小・中学校で一定の知識を詰め込む教育を行なってきた。しかし、この教育は今日の実状にそぐわなくなり、また、社会の進展に伴って知識量も増加したため、子ども達は疲れきってしまっている。
        そこで、21世紀型教育では、「知識詰め込み型教育」を改め、「ゆとり」の中で自ら学び考える力を育成する。小・中学校段階での「基礎・基本の徹底」、および高等学校・大学での「応用力の育成」に向け、2002年から始まる新学習指導要領では、教育内容を3割削減する。「おちこぼれ」や「勉強嫌い」を一人もつくらないようにすることを課題としている。

    2. 小・中学校段階における改善例
    3. 英語嫌いを防ぐため、小学校では、外国人と話すことを体験させて勉強意欲を育み、中学校では、最低必修単語数を従来の5分の1に抑え、各自の興味に応じて単語量を増やしていく実践的な教育を行なう。
      また、知的好奇心を呼び起こすため、基礎だけではなく、「総合的な学習の時間」という応用の時間を設ける。
      学校週5日制は、単に子ども達の遊ぶ時間を増やすのではなく、自然体験等を通じて自ら学ぶ時間を創出するものである。そのため文部省は、家庭や地域社会における子ども達の活動の場の充実を図っている。

    4. 高等学校・大学における教育
    5. 高等学校・大学においては、「好きを伸ばす」教育を図る。2011年までに、全高校において、各自の興味にあった科目の選択を可能にする。また、高校入試をなくす。
      なお、進学率の上昇による大学生の平均学力の低下は避けられないが、一流大学のトップ入学者の学力低下が生じていることは問題である。

  2. 懇談要旨
  3. 経団連側からは、

    1. 「ゆとりの時間」の過ごし方を知らない子どもに自然体験等の機会を提供すべきである、
    2. 課外活動の指導者不足が問題である、
    等の意見が出された。


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