国土・住宅政策委員会 PFI推進部会(部会長 鈴木誠之氏)/9月29日
PFI推進法の成立を受け、経済企画庁総合計画局長の私的諮問機関であるPFI推進研究会(座長:樋口廣太郎氏)では、最終報告書をとりまとめた。そこで、総理府民間資金等活用事業推進室の佐久間 隆 参事官を招き、本報告書の内容等について説明をきくとともに、意見交換を行なった。
PFI推進法案が1998年5月に議員立法により国会に提出され、官民の役割分担が不明確であった第三セクター方式に対する反省から、政府の支援措置から出資や債務保証が削除されるなど、法案修正が行なわれたうえで、本年7月23日に成立した。本法は、9月22日の関係政令の公布を経て、9月24日に施行された。
今後は、法の定めに基づき、「民間資金等活用事業推進委員会」を10月初旬にも発足させ、年内の公表を目指して「基本方針」の審議を行なう予定である。
PFIとは
PFIは、公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行なうことである。本報告書では、PFI事業は、公共施設の建設のみならず、公共サービスの提供を含むこと、民間事業者が公共施設等の設計、建設、維持管理、運営などを一体的に行なうことにより、民間の創意工夫を引き出し、事業の効率化が一層推進されることを強調した。
民活事業や第三セクター事業では、従来公共事業では実施されていなかった公共的施設の整備を推進することを目的とするものであったのに対し、PFIでは、公共性が高く、本来公的部門が整備すべき公共施設等の整備等を行なう事業であるとの違いがある。
PFIの二つの原則
第1に、PFI事業の下では、コストの引下げやサービスの向上など、将来にわたって財政資金の効率的な使用が行われなければならない。具体的には、公共サービスの提供期間中にわたって国及び地方自治体の財政支出の軽減が図られる、あるいは、一定の事業コストの下で、水準(質・量)の高い公共サービスの提供が可能となることを前提条件に掲げており、PFIが財政支出の抑制に資することを強調している。
第2に、官民のリスク分担と契約による明確化が行なわれなければならない。契約の透明性を確保し、官の支援策等は契約で明確化された範囲にとどめる必要がある。
PFI事業の対象
上記の原則の下に実施される事業がPFI事業であり、事業の対象は、施設の種類や整備内容等によって限定されるものではない。但し、民間事業者が公共施設を建設して公共側にリースするだけでは、財政資金の効率化にならないのでPFIではない。維持管理や運営を含めた事業を構築すればPFI事業の機会は増えるのではないか。
PFI事業の検討を進めるにあたっては、とりあえず、ごみ処理施設など、国民のニーズが高く、かつ、安定的な収入の見込まれる事業(ペイする社会資本)等から導入することが有益である。
PFIの課題
補助金等のあり方については、従来の公共事業方式や第三セクター方式とのバランスを考慮したうえで、適切な財政措置を行なう必要がある。
民間事業者の選定方式については、従来の公共事業のように価格のみによる選定はPFI事業には馴染まない。競争的な環境の下で、価格に重点を置きつつも、サービス内容やリスク負担の内容等に関して民間事業者の創意工夫が発揮されるような事業者の選定方法の採用が必要である。
公共施設等の管理者を定めている現行法令との関係におけるPFI事業者の位置づけ(いわゆる公物管理法の問題)については、民間PFI事業者が、どのような法的位置づけで、また、どの範囲で事業を行なえるのかについて、各々の分野で明らかにすることが必要である。
PFI事業者は国有財産・公有財産を使用することができる。その際、大蔵省及び自治省の方針では、官民間で通常の契約関係を締結できるよう、現在行政財産である国有財産・公有財産を使用する場合においては、行政財産の用途廃止を行なった上で普通財産に分類するとしている。