経団連くりっぷ No.110 (1999年10月14日)

WTO交渉連絡協議会 第1回会合/9月16日

WTO次期ラウンド交渉に向け政府・産業界の連絡協議会を設置


2000年から開始されるWTO次期ラウンド交渉に臨む国内体制強化の一環として、政府と産業界との常設の意見・情報交換の場として、WTO交渉連絡協議会を設置した。第1回会合では、外務・通産・大蔵・農水の4省より11月末のWTOシアトル閣僚会議に向けた準備状況につき説明をきいた。また経団連側からは、槙原貿易投資委員長、團野貿易部会長他が次期交渉に向けた経団連の要望や、今後の活動計画等を説明した。

  1. 大島正太郎 外務省経済局長:
    新しい経済実態に即した交渉を
  2. 日本は、既に交渉を行なうことが合意されている農業・サービスのほか、鉱工業品関税、投資ルール、アンチダンピング等を含む包括的な交渉、一括受諾方式による合意、3年程度の交渉期間を基本的立場としている。また途上国の立場への適切な配慮も重要である。さらに電子商取引、遺伝子組換食品といった新たな問題への取組み、市民社会の動きへの対応など、ウルグアイ・ラウンド以降の新しい経済実態に即応した交渉にしていきたい。
    各国とも官民が固く連携をとりながら交渉に向けた準備を進めている。日本政府としてもこの協議会を活用し、より強固な立場で交渉に臨みたい。

  3. 今野秀洋 通産省通商政策局長:
    民間主導のルールづくりの動き
  4. 日本のねらいは投資、アンチダンピング、電子商取引などに関するルール・規律の強化にある。電子商取引に見られるように、従来の政府主導によるルール策定から、民間がルールの大枠をつくる動きが顕著になっている。シアトル会議は政府間の会議であるが、同時に行なわれる民間の諸活動が大きな影響を与えると予想される。日本の経済界も積極的に参加して意見を述べてほしい。

  5. 渡辺裕泰 大蔵省関税局長:
    関税引下げから貿易円滑化へ
  6. 数次にわたるラウンドの結果、関税率が引き下げられるにつれ、各国の関心は関税よりむしろ非関税の部分である貿易円滑化に移りつつある。また今後は、電子商取引の課税といった新たな問題も出てくる。本協議会においてこうした問題への取組みを説明していきたい。

  7. 林 正徳 農水省国際部長:
    市場アクセスに偏らない交渉を
  8. 農業交渉に当たっては、国土保全、食糧安保といった農業の多面的機能を念頭に置くべきである。また、従来の交渉は市場アクセス重視で、輸出国にとって都合の悪い問題がなおざりにされてきた。輸出国と輸入国の権利義務のバランスを考慮し、輸出関税、輸出制限等についてもルールの強化が必要である。


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