経団連くりっぷ No.110 (1999年10月14日)

財政制度委員会 企画部会(部会長 中原 眞氏)/9月20日

地方財政の現状について自治省岡本財政課長にきく


財政制度委員会 企画部会では、9月20日、今後、地方財政のあり方を検討していくことを決めるとともに、自治省財政局の岡本 保 財政課長から地方財政の現状について説明をきいた。

岡本課長説明要旨

  1. わが国の地方財政の規模
  2. 国と地方を合わせた政府支出全体の内、3分の2を地方が占めている。また、公共投資に占める地方の割合も、8割(事業実施ベース)となっており、わが国において、地方財政が果たす役割は大きい。

  3. 地方の歳出
  4. 公債費等を除く地方の歳出総額は、約74.7兆円(平成11年度・地方財政計画ベース)であるが、この内約45%は、国庫補助関連事業等の国が法令等で基準を設定しているなど一定の関与が行われているものである。そこで、地方公共団体が、法令等で定められた支出を行なうことができるよう、国による財源保障がなされている。

  5. 国と地方の税財源配分
  6. 一方、歳入に関し、国と地方の税財源配分は、2:1の比率(平成9年度決算・国税分55.6兆円、地方税分36.2兆円)である。また、地方によってばらつきがあり、例えば、一人当たりの地方税額は、東京20.6万円に対し、沖縄6.4万円である。このため、地方に財源を移転する必要があり、国は、地方交付税等で地方に財源を移転している。

  7. 平成11年度の地方財政対策
  8. 平成11年度における必要な地方の歳出は88.5兆円であった。一方、歳入は75.5兆円で、この差の13兆円を、地方財政対策で手当てした。具体的には、地方債の発行によって2.6兆円を調達し、残り9.7兆円を交付税特会借入金等で調達した。

  9. 地方財政の現状
  10. 地方の借入金残高は、平成11年度末で176兆円であり、平成2年度末の67兆円から、9年間に約3倍となっている。この借入金の内、制度減税、恒久的減税等の補てん債、公共投資の財源にあてる財源対策債、交付税の不足分を補う交付税特別会計借入金等で、44.7兆円(42.2%)となっている。
    また、個別の地方公共団体でみても、公債費負担比率が15%を超える地方公共団体数は、平成4年度末に1065団体(全体の約1/3)であったものが、平成9年度末には1853団体(全体の約6割)へと増加している。

  11. 地方債の格付け
  12. 地方債の格付けを行なっている格付機関があるが、地方債は、地方財政計画における財源保障、起債制限比率や財政再建法による起債制限があり、制度として、各団体の信用リスクには差がないものとなっている。

  13. 財政投融資制度の改革
  14. 平成13年度からの新たな財投制度の発足に伴い、郵貯、簡保、年金資金を、財投制度を通じて地方の資金として調達することができなくなる。今後新制度の下での地方の資金調達の方途が議論されることとなる。


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