経団連くりっぷ No.111 (1999年10月28日)

第562回常任理事会/10月5日

最近の金融をめぐる動き


金融監督庁の浜中秀一郎次長より、昨年6月の監督庁発足以降の金融をめぐる動きについて説明をきいた。

浜中次長説明要旨

  1. 発足後の主なできごと
    1. 昨年7月より、主要行に対する集中的検査に順次着手し、12月、検査・考査結果を公表した。続いて本年6月に地方銀行、9月に第二地方銀行に対する検査・考査結果を公表した。公表の狙いは、わが国金融機関のバランスシートを内外に示すことにあるが、数字自体をどう読むかは市場参加者の判断に委ねられる。

    2. 時代の要請に応じて金融検査の着眼点、必要な技術も変わる。そこで、新たにマニュアルを作成することとした。昨年末に中間とりまとめをパブリック・コメントに付し、その結果を踏まえ、本年4月に最終とりまとめを公表した。

    3. 昨年10月、金融再生法、金融早期健全化法が施行された。金融再生法の下で、2行の特別公的管理開始が決定されるとともに、早期是正措置の適用を受けた5行のうち4行が破綻し、金融整理管財人による管理の下に置かれた。また、生命保険会社1社も破綻した。一方、早期健全化法によって、不良債権を早期に処理すべく、資本増強に関する緊急措置が講じられるようになった。

    4. 本年度に入って、フリー、フェア、グローバルな東京マーケットの実現に注力している。その一環として、外国銀行・証券会社への検査にも内外無差別で取り組んでいる。

  2. 金融行政機構の変化
  3. 昨年12月に金融再生委員会が発足し、監督庁は委員会に置かれることとなった。2000年7月には、金融制度の企画・立案事務が大蔵省から金融監督庁に移管され金融庁となる。さらに2001年1月には、金融再生委員会が廃止され、内閣府の外局として金融庁が設置されることになっている。

  4. 「貸し渋り」問題への対応
  5. 中小企業に対する信用保証枠拡充など政策努力の結果、事態は好転し、あまり苦情をきかなくなった。ただし、このままでいくと、GDPを100とした時の全国銀行貸出残高がバブル当時と同水準の130〜140程度に膨らむ可能性もある。中長期的には、直接金融へのシフトに伴い減少していくことになろうが、急減すると、企業の資金繰りが困難になりかねないという問題があり、バランスのとれた対応が肝要となる。

  6. 2年目の課題
  7. (1)専門性の高い深度ある検査の実施、(2)金融機関の自助努力の促進、破綻が生じた場合の預金者等の保護と信用秩序の維持、などに加えて、(3)国際ルール策定への積極的な貢献が2年目の重要課題となる。


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