経団連くりっぷ No.111 (1999年10月28日)

日本ベネズエラ経済委員会(委員長 槙原 稔氏)/10月14日

政治改革を軸に、経済活性化に努めるベネズエラ

−チャベス大統領との昼食懇談会


チャベス大統領

ベネズエラ共和国のチャベス大統領を迎え、昼食懇談会を開催した。大統領は、20年間に及ぶ危機的状態を克服するため、制憲会議の設立による政治改革に精力的に取り組むと同時に、経済面でも財政再建や外国投資の誘致に努めていると述べた。


チャベス大統領スピーチ要旨

過去20年間にわたりベネズエラは、危機的な状態にあった。道徳面では汚職が一般化し、経済面では豊かな天然資源にも関わらず破産状態であり、社会面では国民の80%が貧困層にあり、政治面では民主政治が実質的に機能せず、権力が少数の人々に集中してきた。

緊急課題である政治改革については、国民の選挙に基づく制憲会議の設立により、政権発足後わずか9ヵ月で民主的に実現することができた。制憲会議は、新憲法の草案を作成したが、来年2月までに批准すべく、議論を行なっていく。また司法改革も行ない、500名以上の腐敗した判事を罷免した。汚職対策としては、三権に加えて、道徳権という第4の権力を考えている。こうした改革のためには、大統領任期を6年に延長するとともに再選を可能とすることが必要である。

経済面では、投資誘致のための投資推進保護法、民営化を可能とするための電力法及び鉱山法、民活によるインフラ整備を図るコンセッション法など約40本の法律を制定した。

また、GDP比8.5%の財政赤字を減らすために、国家予算を10%削減した。付加価値税などの導入、税関の改革によって、歳入の増加を図った。他方で、省庁、国営基金の数を減らし、行政の効率化を図った。さらに、石油価格の上昇による歳入余剰分を貯蓄するためマクロ経済安定化基金を設立した。

こうした改革により、インフレ率及び金利の低下、為替の安定推移、外貨準備高の回復など最近のマクロ経済は非常に良好である。

現在、オリノコ川開発、オリマルジョン関連、観光、インフラなど多岐にわたって約100の投資プロジェクトがあり、日本企業にも、ぜひ投資をして欲しい。

ベネズエラは、アンデス共同体の加盟国として、メルコスール(南米南部共同市場)との自由貿易協定締結に向けて努力している。また、カリブ海諸国とも地域統合を行なっていきたい。その上で、NAFTAと提携し、最終的にFTAA(米州自由貿易圏)を考えていくつもりである。


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