経団連くりっぷ No.111 (1999年10月28日)

中南米地域委員会(委員長 岸 曉氏)/10月18日

開放的な経済政策により外国投資の増大するボリビア

−ムリーリョ外務大臣との懇談会


ボリビア共和国のムリーリョ外務大臣を迎え、懇談会を開催した。大臣は、(1)地域統合への積極的な参加、(2)天然ガス・鉱物など豊富な天然資源、(3)投資促進のための法整備、などによって、ボリビアが魅力的な投資対象国となっている点を強調するとともに、ボリビア企業と日本企業との提携を望むと述べた。

ムリーリョ大臣発言要旨

  1. ボリビアは、アンデス共同体のメンバーであるほか、メルコスール(南米南部共同市場)へ準加盟するなど、南米の地域統合に関与している。また、FTAA(米州自由貿易圏)の設立にも積極的に参加している。この結果、ボリビアを通じ、米州のさまざまな市場へのアクセスが可能となる。
    政治面では、民主制の下で社会的な紛争はなく、他の南米諸国と異なり治安が良い。
    経済面では、14年間にわたって安定的な成長を遂げており、危機にみまわれた中南米において、1998、99年ともにプラス成長を達成する数少ない国の一つである。

  2. 魅力的な投資分野としては、農業と観光が挙げられる。また、約170種類の木材資源、金、銀、亜鉛、プラチナなどの鉱物資源も豊富である。
    特に有望な経済分野は、天然ガスである。最近の調査によると、確定埋蔵量は66.2億立方フィート、予想埋蔵量は320億立方フィートである。ブラジルへのガス・パイプラインが98年7月1日から操業を開始しているが、サンパウロにおける需要の高まりによって、2本目の建設も構想されている。またブラジルとの国境地帯に、両国共同で天然ガスの火力発電所を建設する計画もある。

  3. ボリビアでは、外国からの投資を保証するために、さまざまな法制度が整備され、外国投資家は内国民待遇を受ける。また基本的に、所有権、為替、資本の流出入、利潤の国外送金、技術移転、財・サービスの輸出入、取引通貨などに関する規制はない。
    ボリビア製品の輸出促進のために設けられたフリー・ゾーンで活動する企業には、国内税や関税が免除される。税制は簡素化されており、付加価値税13%、法人税25%と一律に低く設定されている。

  4. 日本企業とボリビア企業が戦略的に提携を進められる分野として、運輸が挙げられる。ボリビアは、両大洋を効率的に結ぶため、総延長9,000kmの道路網の整備を計画しており、民活によるインフラ整備のためのコンセッション法も施行した。また、食品分野でも、両国企業による協力の可能性が大きい。


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