国土・住宅政策委員会 土地・住宅部会(部会長 田中順一郎氏)/10月5日
都市計画中央審議会では基本政策部会計画制度小委員会を設け、経済社会環境の変化に対応して、都市計画制度全般を見直し、再構築することとしている。経団連土地・住宅部会では6月に「都市再生への提言」をとりまとめ、提言の実現方を働きかけてきたが、9月に審議会が報告書「都市計画制度の見直しに当たって」をとりまとめたのを機に、建設省山本繁太郎審議官、加藤利男都市計画課長を招き、報告書の説明をきくとともに、制度改正に向けての課題について意見交換を行なった。
都市計画法は旧法以来80年、新法になって30年が経過した。新法制定時の課題は、
都市計画制度は国民の権利・義務に関わる一番身近な制度のひとつである。そこで、都市計画中央審議会は初めての試みとして、本報告書を建設省のホームページ(http://www.moc.go.jp/city/singikai/sn0900.htm)等を通じて公開し、国民各層の意見を募集している(11月10日まで)。寄せられた意見に基づき年内には答申を得て、次期通常国会に必要な法案を提出したい。
本報告書では都市計画制度の再構成に当たって、3つの観点から見直すこととしている。すなわち、
第1が、都道府県の都市計画に関するマスタープランの創設である。都市計画区域の指定の方針等を定めるとともに各都市計画区域ごとのマスタープランを策定することを提案した。現行市町村マスタープランについては、現状を維持することとした。
第2が、都市計画区域外における開発行為及び建築行為についての考え方の見直しである。現在、都市計画区域外での開発行為は、地方公共団体の条例や開発指導要綱等でしか対応されていない。こうした地域における都市的土地利用を必要最小限、コントロールできる仕組みの創設を提案した。
第3が、線引き制度および開発許可制度の見直しである。線引き制度は基本的に維持しつつ、三大都市圏の既成市街地などを除いて、都道府県が線引きするかどうかを決定する。また、開発許可の技術的基準は現行通り法令で定めつつ、地方公共団体が条例で安全性等の基準を強化、付加することを可能とすることなどを提案した。
第4が、既成市街地再整備のための新たな制度づくりである。容積率の割増等が可能となる地域地区にはさまざまなタイプがあるが、これらを整理統合するとともに、多様な建築計画が可能となるよう柔軟な制度を構築することを提案しているほか、地区計画制度についてもより一般化を図る方向で見直すべきであると提案している。
第5が、環境問題等への対応のための制度の強化である。特に緑地保全等に係る既存の制度を再編整理しながら、自然環境や景観の保全、防災対策などを行なうことや廃棄物処理施設の設置などを広域の観点からマスタープランに位置付ける旨、問題提起している。
第6が、都市計画の決定システムの合理化である。都市計画の公告縦覧の際にその計画の必要性などを示した資料を付けることを提案している。地区計画については、地域住民や民間事業者などからの策定要請を制度化することとした。