貿易投資委員会 貿易部会(部会長 團野廣一氏)/10月12日
9月29日に東京で開催された局長級のサービス四極会合の模様について、外務省国際機関第一課の高瀬 寧サービス貿易室長より説明をきくとともに、次期サービス自由化交渉に対するわが国産業界の意見取りまとめに向けて議論を行なった。高瀬室長は、交渉範囲・方式、最恵国待遇免除の削減交渉、国内規制に関する規律等をめぐる議論の概要を説明した。
日本、米国、EU、カナダの四極政府は次の点で合意している。
GATSは第2条で、約束表に登録された分野に限り最恵国待遇の免除を認めている。欧米を含め多くの国は10項目近くを免除しているが、日本は多角的自由化の重要性に鑑み一切免除を行なっていない。日本は次期交渉で最恵国待遇免除の削減交渉を行なうべきと主張しているが、他の三極は当分の間はこの問題に触れたくないと考えている。
GATSは、国の政策目的のために国内規制を設けることを認めているが、これが参入障壁となるケースが多い。そこで四極は、国内規制に関する規律が次期交渉の重要課題であると認識している。ひとつの課題は、特に途上国における規制の透明性の向上である。もうひとつは、競争促進的規制の導入であり、従来より主張されてきたエネルギー、電気通信等の伝統的独占分野における競争促進のほかに、インターネット、会計士サービス、航空分野等で国際市場の寡占化に対処するための規律が必要であるとの意見が出てきている。
次期交渉への途上国の参加を確保するために、途上国が関心を持つオーディオ・ビジュアル、観光、ヘルスケア、自由職業サービス等の分野や、自然人の移動の問題を考慮すべきことを確認した。
現行のGATSは12のサービス分類を採用し、自由化約束の基準としているが、必ずしも産業の実態に合っていない。そこで自由化交渉上、混乱を招かない範囲で手直しすることで合意した。