経団連くりっぷ No.111 (1999年10月28日)

情報通信ワーキング・グループ第3回会合(座長 立花常務理事)/10月7日

情報通信の規制・政策は各国ともに同一方向へ


情報通信ワーキング・グループでは、第3回会合を開催し、情報通信総合研究所の堀 伸樹 取締役より、欧米諸国における情報通信法制の動向について説明をきくとともに懇談した。

堀 情報通信総合研究所取締役説明要旨

  1. 電気通信市場の自由化と環境変化
    1. 電気通信市場は1996年の米国通信法改正による地域通信市場への競争導入、98年のWTO基本電気通信自由化合意など、世界的規模で競争導入・自由化が図られている。

    2. IP方式によるデータ通信量が急増している。今後は、IP網の中でデータ通信の一部として音声も伝送する時代となろう。

    3. 英ボーダーフォンによる米エアタッチの買収、AT&T・BTの日本テレコムへの出資など、国をまたがった合併や提携が進んでいる。

  2. 各国における規制・政策の潮流
  3. 電気通信の自由化は、各国ごとの事情に応じて進められてきたが、現在は各国ともに同じ改革の方向を指向しつつある。

    1. 参入・退出規制
      電波を利用する移動網は制限が設けられているが、固定網に関しては免許は制限がなく、長距離・国際などの事業区分も廃止されている。米国では設備所有の有無は規制とあまり関係はないが、主要な欧州諸国では設備ベースの事業者免許と電話サービス免許を分けている。

    2. 小売料金規制
      通信事業者を価格支配力の観点から「支配的事業者」と「非支配的事業者」とに分類した上で、支配的事業者に対してプライスキャップ規制を課し、非支配的事業者に対しては規制を課さない方向である。

    3. 相互接続条件・料金規制
      各国ともに、エンドユーザー向けの小売料金規制から、相互接続料金の規制へと重点を移している。いかに公正、合理的、効率的、無差別かつ透明な手続きにより、相互接続条件・料金を競争事業者に提供するかが課題となっている。相互接続では、ネットワーク間の物理的相互接続から、既存事業者の加入者回線を競争事業者にアンバンドルして提供する形態が重要視されている。米国やドイツでは市内ループのアンバンドルでの提供が図られている。また、電柱・管路などの利用権などに関して、支配的事業者が競争事業者へ開放する旨を法律で明記し、規制機関が監視するようになりつつある。先進国の接続料金の算定方式は、今後1〜2年で長期増分費用方式が導入される予定である。

    4. 外資規制
      各国とも、通信主権確保の見地から、外国資本による保有割合を規制してきたが、相互の市場開放に伴い、緩和・撤廃してきている。日本でも、NTTを除く事業者に関しては外資規制が撤廃されている。


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