経団連くりっぷ No.112 (1999年11月11日)

チュアン タイ首相との朝食懇談会/10月27日

タイ経済の本格回復の方策について意見交換


経団連では、来日中のチュアン タイ首相一行を迎えて朝食懇談会を開催した。タイ側からはチュアン首相のほかスパチャイ副首相兼商務相、タリン蔵相、アピシット首相府相(投資委員会担当)など21名が出席し、経団連側からは今井会長、熊谷副会長、草道日タイ貿易経済委員長はじめ36名が出席して、活発な意見交換を行なった。

  1. チュアン首相発言要旨
  2. チュアン首相

    今年初めからタイ経済の回復を示すさまざまな指標が出ている。これはタイ政府が信頼の回復や為替の安定に努め、金融改革、経済関連法整備などに取り組んできた成果である。今年に入ってからも3月、8月と2次にわたり経済対策を打ち出し、減税や社会的弱者対策を行なった。経済関連法も整備・改正した。各国の協力も経済回復に重要な役割を果たした。特に、日本の官民による支援にあらためて感謝する。ただ、危機は峠を越えたものの、回復はまだ心もとない。自己満足に陥ることなく、引き続き経済構造改革に努めたい。
    21世紀において、日タイ両国は以下の4分野で協力を強化すべきである。すなわち、

    1. それぞれの経済強化のための二国間協力、
    2. メコン川流域開発における協力、
    3. アセアン域内での協力、
    4. 東アジア全体での協力体制の構築、
    である。いずれについても民間の支援が必要であり、経団連の役割に期待する。

  3. 意見交換(要旨)
  4. 経団連側:
    持続的な発展のためには、サービス産業を含め中小企業やベンチャー企業の育成支援が必要である。また、経済構造改革やインフラ整備に際して、特別円借款の活用を検討してもらいたい。
    タイ側:
    外国人企業規制法の改正案が先般、ようやく国会を通過し、サービス分野を含めて外資に開放される事業分野が広がった。中小企業の育成については、日本政府からの助言も得て今後具体的に進めることとしている。また、特別円借款については、現在、日本の通産省と協議中である。

    経団連側:
    熱延鋼板の日本からの輸入に関し、アンチダンピング(AD)提訴の動きがあるようだが、公正な対応を願いたい。
    タイ側:
    AD法は、法整備の一環としてタイ政府が提案し、成立したものである。AD認定に際しては入念な調査を行ない、双方の意見を十分に聴取する。

    経団連側:
    アセアン域内貿易を活発にするため、AICO(アセアン産業協力スキーム)の推進が重要である。
    タイ側:
    加盟国の中にはAICOスキームに賛同しない国もあり、予定通り進展していないのは事実である。次回のアセアンサミットではこの問題も取り上げられるだろう。

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