経団連くりっぷ No.112 (1999年11月11日)

日墨協定に関する懇談会(座長 高木 弘 松下電器産業国際関係渉外担当顧問)/10月26日

マキラドーラの二重課税回避に努力

−バハ・カリフォルニア州知事と懇談


アジア諸国歴訪中のメキシコ合衆国バハ・カリフォルニア州のゴンザレス知事を迎え、同州のビジネス環境をめぐり懇談した。ゴンザレス知事は、治安の改善や離職率の引下げ、産学協同、マキラドーラの二重課税防止、インフラ整備等への取組みについて説明した。

  1. 治安の改善
  2. 治安問題は全国的な問題だが、米国との国境地域では特に深刻である。日本企業にとって従業員の安全確保が重要な課題であることを認識している。米国の協力やイスラエルからの専門家の派遣を得て警察官のトレーニングを強化するなど、州警察長官が全力を挙げて取り組んでいる。日本の警察からも協力を得ることで合意したので、具体化していきたい。

  3. 離職率の引下げ
  4. 失業率を抑えるために雇用創出に努めた結果、離職率が上昇した。離職率を引き下げるため、州内の特定地域に集中した工場の分散化を図っている。また、投資誘致にあたり、労働者に十分な福利厚生を与える企業を選択するようにしている。

  5. 産学協同
  6. 企業と州内の大学など高等教育機関との関係強化を図りながら、企業が必要とする技術者、労働者の育成に努めている。これにより企業の人材確保が容易になるとともに、離職率の低下にもつながるものと期待している。さらに日本の大学との協力を目指し、早稲田大学との間で協力協定を調印した。具体化すれば、両国間の相互理解の増進にも貢献しよう。

  7. マキラドーラの二重課税防止
  8. 2001年1月1日からのマキラドーラ制度の変更に伴う二重課税問題について、日系進出企業が懸念していることは承知している。従来以上に企業の課税負担が増えることのないように、米国、メキシコ、日本の当局間でよく話し合い、投資家の懸念を一掃したいと思う。セディージョ大統領、ブランコ大臣が、二重課税の回避策を講じるとさまざまな機会に明言しているのは心強いことである。

  9. インフラ整備
  10. 特に上下水道の整備は根本的な問題である。水供給のためのパイプラインを、一部は米国と共同で、敷設していく計画である。
    また道路網と並ぶ鉄道網の整備も重要である。今のところティファナ−テカテ間の35kmを計画しているが、将来的にはコンテナ扱い量が年々伸びているエンセナーダ港までの100kmに延長することも考えている。日本企業も入札に是非参加してほしい。その他、米国東海岸・西海岸への鉄道、通勤用の近郊電車なども考えているので、日本企業も入札に関心を持ってほしい。


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