経団連くりっぷ No.112 (1999年11月11日)

国家産業技術戦略検討会第1回会合/10月14日

国家産業技術戦略の策定に向けて


戦略的な産業技術政策を展開するためには、まず産学官一体となった「産業技術戦略」(全体と分野別)の策定が必要であるが、今般、共同してこれを検討する国家産業技術戦略検討会の第1回会合を開催した。産業界側からは、金井務 経団連副会長・産業技術委員長等12名、学側からは吉川弘之 日本学術会議会長等6名、官側からは青江茂 科学技術庁科学技術政策局長等9省庁・国立研究機関代表の10名が参加し、産業技術戦略のあり方等について意見交換を行なった。

  1. 開会挨拶:吉川座長
  2. 現在科学が社会全体に浸透し、急速な変化のなかで科学の影響力を再認識する時代がきた。米国では、昨年の議会報告において、グランド・ブレーク(基礎研究)、サイエンス・エンタープライズ(科学の社会的応用展開のインフラ戦略)、教育の3つの重要性が指摘されている。日本学術会議も開かれた科学の立場に変化している。欧州、ユネスコでも社会発展のための科学知識の受容力が指摘されている。
    本会議では、そのような世界的流れを念頭に、知識生産と知識利用が調和する方向性を見定めながら、議論を進めたい。

  3. 開催経緯、検討分野等
    1. 開催経緯:村田通商産業省産業政策局長
    2. 本年6月の第4回産業競争力会議において、産業界側から、産学官の英知を結集した「産業技術戦略」策定について提案が行なわれ、その結果、6月11日の政府の「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策について」で、未来産業の創造へ向けた技術開発の戦略的実施等の観点から「国家産業技術戦略」の策定が決定された。
      これを受けて、9月の第7回産業競争力会議において、産業界側から、「国家産業技術戦略」の策定の検討の場の設置と着手が提案され、本検討会開催の運びとなった。

    3. 検討分野等
    4. 技術戦略は、

      1. いかなる視点でどういう技術領域を重点化すべきかという重点化戦略、
      2. 技術革新の促進に必要な基盤・環境整備戦略、
      3. 関係業界団体等の協力を得て検討する分野別技術戦略、
      の構成となっている。3.については以下の16分野を予定している。
      (1)バイオテクノロジー、(2)情報通信、(3)機械、(4)化学、
      (5)エネルギー、(6)医療・福祉、(7)材料、(8)環境、
      (9)住宅産業、(10)航空機、(11)宇宙、(12)自動車、
      (13)繊維、(14)食料、(15)造船、(16)建設。
      各分野における検討と平行して、当検討会では1.、2. の検討を行ない、分野別技術戦略の検討状況を踏まえて、12月初旬に国家産業技術戦略の第一次取りまとめを予定している。
      なお、標記検討会の庶務は、経団連と通産省等の関係省庁が協力して行なっている。


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