経団連くりっぷ No.112 (1999年11月11日)

サービス貿易自由化協議会(議長 槙原 稔氏)/10月15日

次期WTOサービス貿易交渉に向けた活動を強化

−サービス貿易自由化協議会を発足


来年から開始されるWTOのサービス分野の貿易自由化交渉に向け、わが国のサービス産業間の分野横断的な意見・情報交換を強化するとともに、積極的な対外情報発信を行なうべく、貿易投資委員会を中心にサービス貿易自由化協議会を設置した。
第1回会合では、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の赤尾前大使より、次期サービス交渉の準備状況等についてきいた。

  1. 初の包括的サービス自由化交渉
  2. WTOで2000年より開始されるサービス自由化交渉は、1995年にサービス貿易一般協定が発効して以来初めての包括的な交渉となる。WTOでは、現在、サービス理事会における公式の議論と並行して、四極サービス担当者会議、20数カ国による非公式グループ等で議論を行なっている。

  3. サービス理事会での準備作業
  4. サービス理事会では、昨年1年間、流通、建設、エネルギーなど分野毎に情報交換を行ない、各国の自由化約束の現状やサービス貿易上の障害などを議論した。先進国のみならず、途上国も、例えばインド・パキスタンが人の移動(コンピュータ技師等の移動の自由化に関心)に関する意見を提出するなど、積極的に関与した。

  5. 交渉の「ガイドライン」つくり
  6. その後、サービス貿易自由化の効果等についての評価が行なわれたが、現在の焦点は、交渉方法についてのガイド・ラインの策定に移っている。関税交渉と異なり、サービス交渉には判りにくい点が多い。自由化約束の適用範囲や分類などを明確にするための議論を行なう必要がある。

  7. 自由化とルールつくり
  8. サービス交渉は、各国が自由化の約束を改善する「自由化交渉」と、サービス貿易に関するルールつくりとからなる。このうち、自由化交渉では、最恵国待遇義務の免除を登録している国(例えば米国の金融分野等)があり、わが国は改善を求めていくつもりである。なお、セーフガード、政府調達、補助金などに関するルールの議論は進んでいない。

  9. 欧米の関心分野
  10. 米国政府の関心分野は、国内業界の意見を反映し、流通、金融、会計士・弁護士などの自由職業サービス、電気通信、エネルギー、電子商取引、エクスプレス・デリバリー、民間教育、環境などの自由化にある。また、EUは、運輸(航空・海運)、金融、電気通信、流通、環境、建築、自由職業、エネルギー等を関心分野にあげている。

  11. わが国産業界の協力の必要性
  12. わが国に有利なペースで交渉を進めるためには、準備段階が重要である。産業界の意見を積極的に活かしていきたいと考えているので、関心事項を教えて欲しい。


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